Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
CMB偏光観測実験において、観測装置の不完全性が作り出す「偽偏光」を抑制することは最重要課題のひとつである。偏光クロストークを抑制する光学系の導入や、様々な偏光変調技術の開発が進められているが、偽偏光の抑制性能は0.1%程度に留まっているのが現状である。究極のCMB偏光Bモード観測が目指す偏光観測精度はO(10nK)である。たった10μK程度の無偏光揺らぎでさえ深刻な偽偏光となる。偽偏光をさらに2桁抑制する光学系が熱望されている。意外かもしれないが、望遠鏡を構成する金属ミラーは原理的に偽の直線偏光を作る。理由は単純で、反射率が完全に100%でないからである(抵抗率がゼロでないからである)。ミラー表面を構成する物質の抵抗率を限りなくゼロに近づければ、偽偏光はゼロに近づく。本研究はこれを実践するアイデア「超伝導ミラー」を提案し、原理検証と特性評価をおこなう。超伝導体の電気抵抗は、超伝導転移時は桁違いに小さくなる。ただし、クーパー対乖離エネルギーより大きなエネルギー(これは周波数に比例する)をもつ電波に対しては、入射表面にて超伝導状態(クーパー対)を壊すため常伝導と変わらない抵抗値を有する。一方、乖離エネルギーより十分小さな観測周波数では電気抵抗は極めて低くなる。つまり、生成される偏光の強度は観測周波数で大きく変わる為、観測周波数帯に相当する乖離エネルギーよりも十分大きな転移温度をもった材質を使う必要がある。ニオブ(Nb)の他にNbNやNbTiなどがその候補となる。超伝導ミラーの大型化を目指し、それぞれの加工性能について調査をおこない、比較検討した。その結果、大型加工にはNbTiが適していることを確認した。また、超伝導ミラーに残留する偽偏光の評価システムのキーコンポーネントであるミリ波スペクトロメーターのノイズ評価試験を行い期待通りのノイズレベルであることを確認した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/CMB/index.html