Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
私たちは、自分で体験すると共に他者の行動を観察し、観察と実体験を組み合わせて学習をする。事前の観察は、実体験による記憶形成に大きな影響を与える。これまでに、マウスが恐怖条件づけの観察を行った後に、恐怖条件づけを実体験すると、恐怖条件づけが増強することを明らかにしてきた。そして海馬CA1野の神経活動を測定すると、観察時に活動した細胞の一部が実体験時にも活動することを明らかにしてきた。さらに観察と実体験の融合の神経回路メカニズムを明らかにするため、他の脳領域における神経活動を解析した。海馬CA3野および前帯状皮質において、恐怖条件づけの観察によって活性化した細胞の割合が上昇した。海馬CA3野において恐怖条件づけの観察時に活性化した細胞の約20%は恐怖条件づけの体験時にも活性化した。この割合は、観察時に活性化しなかった細胞よりも大きかった。しかし、恐怖条件づけの観察を行わずに、体験だけを行った場合にも同様の偏った活性化が認められた。前帯状皮質において恐怖条件づけの観察時に活性化した細胞の約15%は恐怖条件づけの体験時にも活性化した。しかし、この割合は観察時に活性化しなかった細胞の割合と同程度であった。以上の結果から、観察時に活動した細胞が実体験時に再活性化する現象は、海馬CA1野で顕著に観察されることがわかった。恐怖条件づけの観察時に、被ショックマウスと観察マウスが超音波発声を介して情報をやり取りする可能性を考え、観察時のマウスの超音波発声を記録した。その結果、ショックの提示後に超音波発生頻度が上昇することを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2018 2017 2016
All Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 3 results)