Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生物としてのヒトの特徴は、大勢のメンバーからなる集団において、協力・利他行動を維持する社会性の高さにある。こうした集団でのつながりを強めるために、 ダンスや合唱など、身体や声を同調させる行為が積極的に取り入れられており、世界中の文化・宗教的儀式で用いられている。こうしたコミュニケーションがどのように進化してきたのかを明らかにするため、本研究では、飼育下のチンパンジーを対象に、1) リズム音がどのように身体運動を誘発するのか、2) リズム音に対する選好、3)同調がどのように社会性に影響を与えるのかについて実験的に検討した。またヒトと比較することにより種間の相違点を明らかにし、リズム同調を用いた親和的コミュニケーションがどのように進化してきたのかについて考察した。概ね予定していた実験を終了することができた。実験の結果、1)リズム音はチンパンジーのリズム運動を誘発し、また反応には雌雄差があることがわかった。オスの方が刺激音に対しての反応が大きく、こうした違いは野外での聴覚コミュニケーションにおける雌雄差と一致していた。また、2)リズムのテンポは動きの周期性に影響を与えることも示された。さらに、一部のチンパンジーは3)音源に対して空間的な選好を示したことから、リズム音は快情動をもたらす可能性も示唆された。効した結果に加えて、複数個体いる場面での音刺激の呈示によって遊び行動も誘発されたことから、ヒトがリズム同調を用いて親和的なコミュニケーションを行う際に効果に共通した効果がチンパンジーにも見られることが示された。一方で、ヒトとチンパンジーの違いとして、雌雄差がチンパンジーにあることも明らかになった。効した違いは、ヒトとチンパンジーの共通祖先から分岐した後に、チンパンジーが独自に獲得していったものだと推測される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2017 2016
All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 1 results)