Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
記憶は生物の行動を制御する重要な脳機能である。ある現在の出来事を経験すると、脳内に記憶痕跡として蓄積され、その後の未来の行動に影響を与える。また、現在の出来事に関する記憶形成は、過去の記憶の影響を受ける。こうして過去の出来事は、現在の出来事に関する記憶形成に影響を与え、それらが結びついて未来の行動は制御される。このような過去、現在、未来の関係性に関して、ある脳領域の特定の細胞集団による処理様式が明らかになってきた。しかし従来の記憶研究の多くは、どの細胞が活性化するかを重視しており、それらの細胞がどのように活動するかについての検討は少なかった。そこで本研究では、聴覚皮質のある細胞集団が異なる時間タイミングで活動した場合、それらが異なる記憶として処理され、異なる行動を引き起こすかを調べた。一次聴覚皮質の一部の細胞集団にチャネルロドプシンを発現させた。そしてこの細胞集団の活動と報酬の条件づけを行った。報酬としてスクロース水を使用した。マウスに対して事前に報酬になれさせてから学習課題を行った。4秒間の聴覚皮質刺激を与え始めてから1秒後にマウスに対して報酬を与えた。この条件づけを繰り返すと、マウスは聴覚皮質の刺激を受けただけで舌を出す(Licking)ようになった。このLickingは報酬を与える前から観察された。このことは、聴覚皮質の刺激と報酬の条件づけが成立したことを表している。さらにこの時、異なる刺激頻度で聴覚皮質を刺激した場合は報酬を与えない条件づけを繰り返した。するとマウスは聴覚皮質の刺激頻度を区別し、報酬を予測してLickingすることがわかった。以上の結果は、マウスが聴覚皮質細胞集団の異なる活動タイミングを区別して記憶し、その記憶に従って行動を駆動できることを示唆している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2018 2017 2016
All Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 3 results)