Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
「作話」とは,脳の器質的な損傷による健忘症状に関連して起きる,実際には体験していないことを,あたかもあったかのように話す現象のことである.先行研究では,「作話」症状の原因として,保存されている記憶に関連する時間的情報を適切に処理することの困難が指摘されているが,「作話」症状がどのような認知機能の複合的障害の結果として生起しており,どのような脳内メカニズムの障害が関連しているのかについては,十分に理解が進んでいなかった.本研究では,「時間の知覚」や「長期記憶」などの複数の心理過程に着目し,これらの過程の相互作用が「作話」症状の生起とどのように関連し,その関連性がどのような脳内メカニズムを基盤としているのかについて,脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究と,健常者を対象とした機能的磁気共鳴画像(fMRI)法の2つの異なるアプローチから解明することを目的とした.本年度の成果としては,主に2つの点が挙げられる.第一に,脳損傷患者に対する神経心理学的研究として,前交通動脈動脈瘤に伴う前脳基底部手術例を対象として,複数の時間知覚課題の成績と記憶や前頭葉機能の成績との関連を検証し,記憶の順序判断のような時間の処理には記憶機能が関連する一方で,経過時間を類推する前向き時間知覚には前頭葉機能が関連することを明らかにした.第二に,健常若年成人を対象としたfMRI研究では,エピソード記憶に含まれる時間情報の記銘には海馬の前方部と外側前頭前野皮質との間の機能的ネットワークが関与する一方で,エピソード記憶の場所情報の記銘には海馬傍回や脳梁膨大後部皮質と海馬との間の機能的ネットワークが関与し,そのネットワークの強さには海馬の前方と後方とで有意差は認められなかった.これらの成果は,国内外の学会で発表され,一部の成果については総説論文としてまとめられた.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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BRAIN and NERVE
Volume: 69 Issue: 11 Pages: 1303-1309
10.11477/mf.1416200908
Human Brain Mapping
Volume: 印刷中 Issue: 7 Pages: 3428-3443
10.1002/hbm.23599
Clinical Neuroscience
Volume: 34 Pages: 1271-1271
https://www.h.kyoto-u.ac.jp/academic_f/faculty_f/131_tsukiura_t_0/