Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究の目的は、圧縮センシングを応用した高精度タンパク質1H固体NMR測定方法の開発である。固体NMRデータ処理に特化した圧縮センシング法と、データ分解能を高めるために測定帯域を効率的に絞り込めるNMR測定法を開発することで、高精度測定の実現を目指した。測定帯域を効率的に絞り込む測定法について、タンパク質の炭素骨格の大部分を占める脂肪族炭素の信号帯域で、優先的に相関を得られるラジオ波パルス系列を開発した。これによって、信号帯域を60%まで削減することに成功した。圧縮センシング法について、低次元スペクトルの情報に基づき、不完全にサンプリングされた高次元スペクトルのデータを再構成するSIRUP法を開発した。通常のL1正則化のみを用いる信号復元手法と比べ、4次元データの場合において、処理速度を10倍以上高速化した。モデルタンパク質であるGB1で4次元測定を行い、測定時間を百分の一に短縮することに成功した。また、様々な疾患と関係があると考えられているアミロイド線維でも、SIRUP法によって良好なデータを短時間で得られることを確認した(第56回NMR討論会, 領域会議 最終成果報告会)。加えて固体NMRの重要な測定ターゲットである膜タンパク質についてもシミュレーションによって、3次元測定と同等の測定時間で4次元測定が可能であることも明らかにした。さらに、重点モンテカルロサンプリングを応用した、多次元NMRデータからの自動データ抽出法を開発した。これによって、広大で可視化が難しい多次元NMRスペクトルから自動的かつ網羅的に信号情報を収集することが可能となった(20th ISMAR Conference, 2017)。以上をまとめると、NMRの高精度解析に重要な多次元測定を現実的な実験時間で行うための測定・信号処理法や、それを解析する手法を開発することができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2017 2016
All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)