Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、海洋中の水塊混合の指標となるトレーサーであるネオジム同位体比に着目し、その分布を決めている海洋への供給・除去過程および海洋内部のプロセスを適切にモデル化したうえで、ネオジムとその同位体比についての全球分布を再現することを目指した。ネオジムは希土類元素のひとつであるので、まずは希土類全般をターゲットにしてシミュレーションを実施した。先行研究である[Oka et al., 2009]のモデルを拡張し、海洋内部のスキャベンジング過程に加えて、海面からのネオジムの供給源および海底での除去過程を海洋大循環モデルに組み込むことによって、[Oka et al., 2009]ではうまく再現することができなかった「太平洋」「大西洋」「南大洋」における海盆間の濃度の差を再現することに成功した。再現された分布は、とくに重希土類元素については、近年のGEOTRACES計画によって得られた観測データともよく整合する結果であった。この希土類元素のモデルを、ネオジムとその同位体比についてのシミュレーションに応用して実施した。軽希土類に属するネオジムについては、モデルでは表層の濃度がやや過小評価になるなどの問題も残されたが、ネオジムおよびその同位体比についても、おおむね現実的な全球分布を得ることに成功した。ネオジム同位体比については、GEOTRACES計画の進行とともに今後データの蓄積が期待される。今後の研究においても、本研究で得られたモデル結果を新しく得られる観測データと比較するなどして、分布を決めるプロセスの理解および水塊混合の指標としての有効性の検証につなげていきたい。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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