Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
珪藻類は、海水の混合が盛んで下層から表層への栄養塩が豊富に供給される沿岸域・湧昇域における主要な基礎生産者であり、ブルームを形成する。北太平洋西部亜寒帯域の親潮域では、春季に高密度の珪藻ブルームが沿岸域から外洋域にわたり広域に形成される。この大規模な珪藻ブルームにより、親潮域では高い生物生産が維持され、世界有数の漁場が形成されている。近年、親潮域周辺海域の春季珪藻ブルームの形成維持には、鉄分を含む豊富な栄養塩類の供給プロセスとともに、供給された栄養塩を効率的に利用し活発に増殖する珪藻種細胞の供給プロセスも不可欠であることが示唆されてきた。本研究は、珪藻各種個体群の動態に着目し、ブルーム形成期の珪藻各種の細胞供給過程と増殖過程の解析により親潮域周辺海域の春季珪藻ブルーム形成機構とその長期変動過程の解明を目的としている。今年度は、ブルーム形成性珪藻の鍵種であるThalassiosira nordenskioeldiiと亜寒帯太平洋域で広域に分布するNeodenticula seminaeに着目し、親潮域周辺海域におけるブルーム形成珪藻の生存環境の解析、冬季混合期からブルーム形成期の細胞供給過程の解析、春季ブルームにおける現場での増殖過程の解析を行った。その結果、対象二種はそれぞれ異なる機構によりブルームを形成することが示唆された。T. nordenskioeldiiは早春期に沿岸親潮域から増殖を開始し、春季には沖合の親潮域まで拡大し大規模なブルームを形成する。ブルーム形成後沖合では亜表層下に速やかに沈降し、水柱から個体群が消失する。一方、N.seminaeは、主に沖合の親潮域に生存し、春季になるとその場で浮遊していた細胞が増殖しブルームを形成する。その後亜表層下へ個体群の一部は沈降するが、来春のブルーム期まで年間通じて沖合の親潮域の水柱内に個体群が維持される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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