Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究は、光沢感の視覚性短期記憶の心理学的特性と神経基盤の解明に取り組んだ。表面質感の短期記憶:球形物体の表面質感(光沢と粗さ)の短期記憶に関する行動実験より以下の新たな知見を得た。(1)記憶インデックス:知覚課題に対する相対精度を記憶インデックスと定義し、記憶精度を定量化すると、課題条件に関係なくほぼ0.7-0.8という高い値を示した。(2)知見の一般性:照明モデルを6種に増やした追試により知見の一般性を確認した。(3)保持期間の効果:記憶保持期間を操作した実験から、照明変化条件において保持期間が長くなると記憶インデクス値が低下する傾向が見られた。高精度の質感記憶は短期記憶に固有である可能性が示唆される。(4)バイアス:知覚課題と記憶課題の間で反応バイアスの傾向に有意な差異が観察された。この反応バイアスを質感画像の統計量を用いてモデルで説明できることが分かった。記憶課題では画像の高空間周波数情報があまり利用されていないことが示唆された。質感記憶の神経基盤:先行研究の視覚性短期記憶に関連する脳領域同定実験を改変し、質感短期記憶の神経基盤を検討した。光沢感を操作した球体画像を2枚継時呈示した後、数字により記憶する画像を教示する。ブランク期間の後、テスト画像を呈示し、表面属性の変化の方向を答える。2枚の球体画像の違いにより光沢感、粗さいずれを記憶するかを判断することが求められた。この課題遂行時の脳活動データを用いて多重ボクセルパターン解析により記憶する属性を予測したところ、腹側高次視覚野及び頭頂間溝において有意に課題予測が可能であることが示された。また予測成績の時間変動がこの2領域では異なり両者が異なる機能を果たしていることが示唆された。さらに、課題予測においては前頭前野も関与していることが分かった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Consciousness and Cognition
Volume: 53 Pages: 122-135
10.1016/j.concog.2017.05.007
http://www.cv.jinkan.kyoto-u.ac.jp/site/