Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、視覚生理学研究分野では、素材や光沢感など物体の質感の脳内表現が調べられるようになってきている。腹側経路V4野やIT野における研究で、素材やテクスチャ、光沢感などの物体の質感に選択的に反応する細胞の報告がされたが (Okazawa et al. 2014, Nishio et al. 2011, 2014)、これらの研究では静止画像が主に用いられてきた。しかし、質感知覚は、動きの情報からも質感知覚を得ることができる。例として液体粘性知覚が挙げられ、複雑な運動情報から、液体の粘性を知覚することができる。視覚生理学の運動視研究は従来、ランダムドット運動などの単純な視覚刺激を用いて調べられてきており、液体運動の様な複雑運動がどのように表現されているのかはあまり研究されてこなかった。また、運動方向/速度と空間位置の組み合わせは膨大となり、技術的に生理実験を行うことが困難であった。本研究では、近年人の心理物理研究から報告された、液体粘性の知覚判断と相関する高次運動統計量 (Kawabe et al. 2014)を視覚刺激生成に用いることで、液体粘性知覚が質感関連領野と視覚運動領野の両方から入力を受けている、高次視覚領野FST野で表現されているかどうかを明らかにすることを目的とし、電気生理実験を行ってきた。FST野で実験を行う前段階の実験として、運動情報処理を行っていることが既に知られているMT野から記録を行った。過去の知見から、MT野神経細胞は液体粘性には選択性を持たず、運動方向のみに選択性を示すことが予想され、昨年度の生理実験からも予測に近い結果が得られたが、視覚運動刺激の局所的な運動ベクトルの配置による影響かどうかを区別する必要があることが分かった。その後FST野からの電気生理実験の為、実験システムのセットアップを行い、引き続きデータ記録を行っている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2018 2017 2016
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
J Neurophysiology
Volume: 116, 5 Issue: 5 Pages: 2163-2172
10.1152/jn.00108.2016