Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
当該研究ではB01班の一員として、班内外での連携を心がけつつ研究を進めた結果、以下に示す5点の成果を得ることができた。第1に、動態モデル仮説を二つ提示したこと。まず組合せ能力(combining ability)として、上部旧石器時代に組合せ型の道具製作を開始した現生人類が、時をほぼ同じくして高度な象徴化能力を発展させた可能性を示した。もう一つはヨソ者効果(stranger impact)である。文化の変容にかかわる先行研究(Vierkandt 1908, Bargatzky 1978)にもとづきながら、集団内に入ってきた外部者の行動が、その集団の文化全体に変容を引きおこすプロセスをモデル的に示した。第2に、文化動態の具体例としてストーンボイリング(stone boiling)という料理技法をとりあげ、民族誌からの事例を多数紹介しつつ、理論化を試みたこと。それによれば、鉄器により土器が駆逐されるプロセスは一様ではなく、生態環境や道具の使途、さらには生業のあり方によっても文化変容の様相は異なることが示された。この研究はA02班との共同により進められた。第3としては、狩猟採集民社会の多様性を指摘した。とりわけ非定住と定住の狩猟採集文化には大きな違いが見られることと、従来提唱されてきた〈収穫民〉(Lips 1928)や地産物獲得民(Schebesta 1934)といった概念も、この関連で再考すべきことを論じた。4点目は、〈驚異〉・〈怪異〉をめぐる人類の象徴化能力への着目である。これはとりわけ、B01班内でのやり取りにおいて生まれた視点である。5点目が、宗教・神話の進化という視点を持つに至ったことである。人類集団間の動態を見るにあたっては、それぞれの集団が有していた象徴化作用、とりわけ宗教や神話に代表される世界観のあり方がきわめて重要な役割を果たしていたと考えるに至った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2019 2018 2017
All Journal Article (7 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Book (4 results)
Nishiaki, Yoshihiro, Seiji Kadowaki & Yasuhisa Kondo (eds.), PaleoAsia 2018: The International Workshop Cultural History of PaleoAsia. (PaleoAsia Project Series; 17)
Volume: 17 Pages: 102-102
Nishiaki, Yoshihiro & Atsushi Noguchi (eds.), Proceedings of the 6th Conference on Cultural History of PaleoAsia, November 17-18, 2018, Tokyo
Volume: 6 Pages: 89-89
Fujiki, Toshiyuki & Hiroyuki Kitagawa (eds.), Proceedings of the 5th Conference on Cultural History of PaleoAsia, May 12-13, Nagoya
Volume: 5 Pages: 102-103
野林厚志(編)『パレオアジア文化史学 アジア新人文化形成プロセスの総合的研究:人類集団の拡散と定着にともなう文化・行動変化の文化人類学的モデル構築』(PaleoAsia Project Series; 13)
Volume: 1 Pages: 48-67
月刊みんぱく
Volume: 483 Pages: 14-15
篠田知和基(編)『文化英雄その他』
Volume: 1 Pages: 19-32
Mateffy, Attila & Gyorgy Szabados (eds.), Shamanhood and Mythology: Archaic Techniques of Ecstasy and Current Techniques of Research.
Volume: 1 Pages: 471-480