Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
気体と固体の間でのスピン移行過程を実証することを目的として2種類の実験を行った。1つめの実験は,気体の原子スピンから固体の力学的角運動量への移行を検出する実験である。外部からの雑音,主には振動雑音が大きかったため,ねじり振り子に振動アイソレータを組み込んだり,ワイヤーを変え測定振動周波数を高くしたりすることで,信号対雑音比を向上させた。そのほか,光学系など実験装置全般にわたり改善も行った。これらの結果,原子気体を封入した容器に原子スピンを偏極するための光が入射したときに,明確な容器の回転が起こることを検出した。この結果はarXivで公表済みで,現在,ジャーナル論文として審査中である。今後,さらに定量的な計測を行い,固体表面での気体から固体へのスピン移行過程を力学的視点から明らかにしていく。2つめの実験は,固体の電子スピン流と気体の原子スピン間でのスピン移行である。昨年度開発した準安定ヘリウム原子実験装置を用い,白金表面にスピンホール効果で生じるスピン蓄積から,気体ヘリウム原子へスピンを移行し,それを光検出することを試みた。信号は小さいと予想されたため,光検出システムの最適化や白金電流が作る磁場の影響低減化などの装置の改良を続けた。現状ではスピン移行の検出には至っておらず,準安定ヘリウム原子のスピン偏極度が10^-4未満であるという見積もりである。スピン偏極検出の感度をあげる改善をする一方,固体表面状態の最適化(表面の清浄化など)を行うことにより,スピン移行の検出の可能性はあると考えている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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