Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では強誘電的キラリティースイッチの実証を目標に研究に取り組んできた。強誘電的キラリティースイッチとは、強誘電性、すなわち自発分極の反転に伴い分子のキラリティーが反転するような系を指す。このような系の実現にはキラリティーが反転すると分子の双極子モーメントが反転するような系を利用する必要がある。本研究では2価の14族の金属イオンを配位したフタロシアニンを用いることで、この目標に挑戦した。フタロシアニンは平面構造を取るが、2価の14族のイオンはフタロシアニン平面から飛び出るように配位することが知られている。そのため、Pb(II)フタロシアニンなどはシャトルコック構造を取る。プロキラルなフタロシアニンにこれらのイオンを配位するとキラルになり、このイオンがフタロシアニン平面を通り抜けると双極子モーメントが反転すると同時にキラリティーも反転することになる。これまでSn(II)フタロシアニンにおいて、STMで観察しながら高電界を印加するとSn(II)がフタロシアニン平面を通り抜けると報告されいてるが、薄膜などのバルク状態でこれらのイオンが通り抜けることを実証した例は存在しない。本系ではキラルなフタロシアニンを用いることで、強誘電的キラリティースイッチを実証するとともに、2価の14族の金属イオンがフタロシアニン平面を通り抜けることをキラリティーを利用することで証明することも目標とした。これまで標的となる分子の合成ならびにキラルなフタロシアニンの光学分割に成功している。現在CD測定などを用いてキラリティーの反転が起こるかどうかを調べている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。