Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では酸素によりMRIのコントラストが強調される酸素増感MRI(OE-MRI)法を用い、ガンや炎症などで見られるOE-MRIのコントラストがどのような因子と関連するかを他の解析方法と比較することで明らかとし、生体中での酸素動態を可視化するツールとして用いることがきないか検討した。測定手法の検討では酸素投与によるコントラストの増加に加え、呼気酸素濃度を下げることでコントラストの低下を引き起こすことを見出した。この酸素濃度の異なる画像の差分から血管造影にによる比較的太い血管以外にも微細な血管分布を示すような画像が得られることが分かった。13C標識グルコースがラクトースへ代謝される過程を生体中でモニターできる代謝MRI方法とOE-MRIを組み合わせることで、in vivoでの相関性をガン組織中で測定し、その組織部位ごとでのコントラストの相関性のある因子を同定することを試みた。性質の異なる細胞の皮下腫瘍を形成させMRI撮像し、血管走行を観察するために蛍光デキストランを用いた組織切片を作成していった。しかし、蛍光により血管分布をMRIで観察した視野と比較するには想定以上に時間がかかり、3次元的な分布を再構築することは困難であると判断した。代謝MRIとOE-MRIの相関性については細胞種によっても異なるのみでなく、腫瘍内部の状況によってもばらつきがあり、解析例数を増やした検証が必要と考えられた。脳血梗塞による炎症モデルを用いた評価では、急性期には酸素の造影効果がみられたが、時間経過によりその効果は見られなくなることを見出した。一方、自己抗体産生による慢性的な炎症では、ガドリニウム造影による血管関門の破綻は観察されるが、酸素造影では同様の効果は得られなかった。これらの結果から、急性的な炎症状態であるかどうかを評価する方法の一つとしてOE-MRIを用いることが可能であると考えられた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。