Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
前年度までに、バリア破綻細胞の検知に接着結合の構成因子の一つであるAfadinが必須であること、また正常細胞とバリア破綻細胞の境界面にAfadinが張力依存的に集積することを明らかにしていた。そこで、今年度は、接着結合における張力感知に重要な役割を果たすα-catenin/Vinculin経路とAfadinとの関係を検討した。その結果、張力依存的な構造変化が不全となるような変異α-cateninを発現する細胞、およびVinculinをKOした細胞においてはバリア破綻細胞の除去効率が顕著に低下した。さらに、Afadinはクローン境界へのVinculinの集積に必須であったが、一方でα-catenin/Vinculin経路はAfadinの集積には必須ではなかった。これらの結果から、Afadinはα-catenin/Vinculin経路の上流で機能すると考えられた。そこで、正常細胞とバリア破綻細胞の境界面へのAfadinの集積機構をさらに検討するために、Afadinの構造機能解析を行った結果、Afadinの集積にはRas/Rap GTPase結合ドメインが重要であることが示唆された。また、バリア破綻細胞の除去に関わるシグナル伝達経路を明らかにするために、前年度に化合物スクリーニングを行った。今年度は、それらのシグナル伝達の関与についてさらに検討を進めた結果、バリア破綻細胞の除去にROCKが重要であることが明らかとなった。また、バリア破綻細胞においては正常細胞では認められないアクトミオシンのケーブル上の構造が頂端部側に形成されることを見出した。これらの結果を総合して、上皮シート内に上皮バリアが破綻した細胞が出現すると、バリア破綻細胞における張力制御の異常が隣接する正常細胞の接着結合を介してAfadin依存的に検知されることにより、バリア破綻細胞の除去が起こると考えられた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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