Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究課題は、光合成において光エネルギー変換を担う光化学系IIの電子伝達反応につき、プロトン駆動力による制御機構の解明を目的とするものである。光化学系IIでは、プロトン濃度が低下すると第二キノンQBの酸化還元電位Emが低下することが考えられる。その結果、第一キノンQAとの電子授受平衡がQA側にシフトして反応が抑制され、電荷再結合が起こりやすくなることが想定される。本研究はこのことを検証すべく、2年目にあたる平成30年度には、QBおよびQAのEmのpH依存性とその要因究明に向けた研究を展開した。これまで、QAの酸化還元電位の計測では、Em(QA-/QA)の値は通常-100 mV程度とされてきているが、その手法としてQAの酸化還元状態を間接的に調べる蛍光法が用いられており、QAの酸化還元状態のみを必ずしも反映しているとはいえず、QAのEmが正確に得られていない可能性がある。そこで、直接的にキノンの酸化還元状態が観測可能であるFTIR分光法によってEm(QA-/QA)を計測する手法を確立した。本手法により、Em(QA-/QA)は-138 mVと決定され、また従来の結果とは異なり、FTIR法ではMn除去をしてもEm(QA-/QA)はほとんど変化しないことが示された。この結果から、従来の蛍光法によるEm(QA-/QA)計測は、未処理のPSIIに対しては問題がないと考えられるが、Mn除去したPSIIに対して行うと、EmEm(QA-/QA)がシフトしたような結果を導いてしまう問題があることが明らかとなった。さらに、この手法を用いてpH依存性の実態を引き続き追及している。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Physical Chemistry Letters
Volume: 9 Issue: 9 Pages: 2121-2126
10.1021/acs.jpclett.8b00638
化学と工業
Volume: 70 Pages: 935-936
Photosynth. Res.
Volume: 134 Pages: 193-200
https://www.bio.phys.nagoya-u.ac.jp/