Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
葉緑体は、光合成器官であるとともに、環境センサーとして植物の環境応答において重要な働きをしていると考えられる。実際、葉緑体が様々なレトログレードシグナルを介して核コードのストレス応答遺伝子の発現を制御していることが報告されている。しかし、葉緑体による環境変化の感知機構や葉緑体シグナルの実体など、その詳細はわかっていない。葉緑体のCa2+濃度は、明暗変化や病原体関連分子パターン(PAMP)の認識や接触・浸透圧ストレスに応答して変化することが知られている。チラコイド膜に局在するCa2+結合タンパク質CASは、葉緑体のCa2+センサータンパク質の候補の一つであり、防御遺伝子の発現制御や気孔応答に関わる可能性が指摘されている。本研究では、CASに注目し、その機能解析を行った。PAMPの一種であるフラジェリンペプチド(flg22)やキチンは、数十分継続する葉緑体ストロマのCa2+濃度上昇を引き起こす。そこで、flg22が誘導する防御応答遺伝子発現におけるCASの役割を解析し、サリチル酸(SA)誘導関係遺伝子をはじめとする防御遺伝子群の発現がCASに依存することがわかった。CASノックアウト変異体および葉緑体からのSA輸送に関わるEDS5変異体では、flg22誘導気孔閉口はみられない。この結果から、気孔の免疫応答において、CASがレトログレードシグナルを介してSA合成遺伝子発現を誘導し、SAが気孔閉口を引き起こすことが考えられた。また、CASは光依存的にリン酸化される。CASのリン酸化は光合成の電子伝達活性と関係している。CASのリン酸化部位変異体(T380A)と、CASのリン酸化酵素であるSTN8のノックアウト変異体では、光依存的な気孔開口が抑制されることを見出した。CASの光依存的リン酸化制御によって気孔開閉が制御されている可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Eurasian Soil Science
Volume: 印刷中
Protein & Peptide Letters
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The Plant Cell
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