Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
加齢に伴い様々な身体の変化が起こるが、知覚の変化もその一つである。一般的に苦味や辛味を感じる味覚は老化に伴い減弱するのに対して、甘味を感じる味覚は老化に伴い増強することが知られている。しかし、神経細胞や神経回路レベルで長期的にどのような変化が起こることで、老化に伴い味覚の感受性が変化するのか分かっていない。本研究ではショウジョウバエ味覚神経系をモデルとして、神経回路が老化に伴ってどのように変化することにより味覚変化が起こるのかを明らかにする。まず、甘味、苦味味覚神経細胞やそれぞれの投射神経細胞の投射パターンを若齢・老齢個体で比較したが、顕著な差は見られなかった。つぎに、味覚神経の調節作用を持つ神経ペプチド性ニューロンであるニューロペプチドF(NPF)発現神経細胞等の投射パターンを若齢・老齢個体で比較したところ、老齢個体での投射がより広範囲にみられることやnpfの発現量が増加していることが明らかとなった。これらのことより、加齢による味覚の変化は味覚神経細胞自体ではなくNPF発現神経細胞の加齢による変化によって生じている可能性が示唆された。今後、NPF発現神経細胞と味覚神経細胞との関連や、その加齢変化について検討を進める必要がある。一方で、老齢個体で見られる苦味感受性の低下と甘味感受性の上昇は、それぞれの味覚感受性が相互作用することによるという仮説が考えられた。それを検証するために、苦味味覚神経細胞の活動を遺伝学的に遮断した個体における甘味感受性の検討を行ったが、顕著な変化は見られなかった。今後、老齢個体における味覚変化が可逆的かどうかを遺伝学的な神経活動の操作により明らかにする予定である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neurosci Res.
Volume: S0168-0102(17) Pages: 30502-3
10.1016/j.neures.2017.10.005
http://www.p.chiba-u.jp/lab/seika/index.html