Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生殖をめぐる多様な現象群のうち、未だその分子機構や進化的意義が分からないものの一つに「葉緑体やミトコンドリアDNAの母性遺伝」がある。母性遺伝とは、葉緑体やミトコンドリアが持つDNAが母親のみから子孫に伝えられる現象のことであり、ヒトを含む動物から菌類、藻類、植物に至る幅広い生物種において普遍的に観察される。母性遺伝は、雌と雄由来の葉緑体/ミトコンドリアDNAを明確に識別し、片方のみを排除することで実現すると考えられているが、そのメカニズムは現在活発な議論の対象となっている。本研究では緑藻クラミドモナス、担子菌類クリプトコッカスをモデルとして、葉緑体とミトコンドリアDNAの片親遺伝のメカニズムを探った。緑藻クラミドモナスでは、接合子成熟の鍵制御因子であるGSP1が欠損すると葉緑体母性遺伝が完全に停止する。GSP1欠損変異体をもちいたRNAseq解析から、接合子においてGSP1によって活性化されるRecAに注目し、その欠損株における母性遺伝を解析したところ、約10ー20%の接合子において父性遺伝が観察された。父性遺伝の原因を探るべく、RecA欠損変異体における接合後の各段階における葉緑体DNAの変化を追跡した。接合子における雄葉緑体核様体の消失現象は正常に観察されていたのに対し、接合胞子が減数分裂をおこなって栄養細胞にある段階で起きる雌葉緑体DNAの複製に異常が観察されたことから、RecAは雌葉緑体DNAの複製を促進することにより、葉緑体DNAの母性遺伝を保障している可能性が示された。一方クリプトコッカスにおいて、ミトコンドリア核様体の可視化に成功し、その挙動を観察したところ、雄由来のミトコンドリア核様体が選択的に消失し、核様体を失ったミトコンドリアはオートファジーによって除去されることが明らかになった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
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http://www.bot.kyoto-u.ac.jp/j/5_iden.html