Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
我々が日常行う、「痛いところをさする」といった行為は、触覚刺激によって痛みを軽減しようとするものである。このメカニズムは「ゲートコントロール仮説」によって脊髄レベルの神経回路で説明されてきた。しかし、痛みを感じているときに触覚情報処理が阻害されるといった逆の現象も報告されており、従来から提唱されている脊髄レベルの「ゲートコントロール仮説」では説明がつかず、より中枢の回路が関与している可能性が考えられる。そこで本研究では、脊髄よりも中枢の大脳レベルにおいて触覚―痛覚相互作用が観察されるのか、電気生理学的に検証を進めた。これまでの研究から我々は、マウス大脳皮質一次体性感覚野において、痛覚刺激によってdysgranular領域の活動が上昇することを確認した。そこで本年度は、さらに電気生理学的に痛覚受容ニューロンがdysgranular領域に集中して存在していることを明らかにし、大脳皮質における層ごとの痛覚受容ニューロンの詳細な分布様式などを解明した。さらに痛覚刺激によって触覚情報処理領域の活動が低下することを発見した。これは大脳レベルで触覚―痛覚の相互作用が起こりうることを示唆している。また、大脳レベルでの触覚―痛覚の相互作用が動物の行動に与える影響を観察するため、申請時に計画していた光遺伝学的にニューロンの活動を制御できるようガルバノミラーを用いた刺激システムを組み合わせた新たな行動実験系を立ち上げた。この行動実験系では、トラックボール上を自由に歩行しながら、特定部位を光刺激することが可能であり、今後大変有用な実験系となることが期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2018 2017
All Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)