Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
自閉スペクトラム症(ASD)の脳病態を定型発達(CTL)と比較して検討するため、安静時fMRIを用いた脳領域間結合性に関する解析が行われてきた。しかし従来の研究結果は脳領域間結合性がASD群で亢進しているとする報告と、逆に低下しているという報告が混在していた。このような相反する結果が得られた原因として、各研究における被験者数が少なく、また年齢幅が小さいことが考えられる。そこで本研究では米国の多施設共同研究(ABIDE II)におけるデータセットを用いて、5~29歳の男性被験者(ASDが311名とCTLが315名)の安静時fMRIを解析した。データ解析はSPM12とDPARSFを用いて行った。重回帰分析により各施設を変量とすることで、多施設研究の問題である施設間差を低減した。診断、年齢、診断×年齢相互作用、頭部の動きなどを変量とした重回帰分析を行い、多重検定の補正(FDR)を行った後にp<0.05水準を有意とした。皮質下構造物(海馬、扁桃体、尾状核、被殻、淡蒼球、視床)と、それ以外の88領域を結ぶ機能的結合性を調べた。FDR補正後に有意であったのは、視床と側頭―頭頂領域、後部帯状回などを結ぶ19個の結合性であった。これらはいずれもASDでCTLより亢進していた。扁桃体と後頭―側頭葉領域などを結ぶ6個の結合性は、逆にASDでCTLより低下していた。効果量では、前者(視床)が後者(扁桃体)よりも大きかった。本結果は従来の少人数の解析結果と異なり、大規模データベースを用いた頑健性の高い結果と言える。視床は感覚のフィルター機能があり、その機能障害が感覚過敏性などASDに特異な臨床症状に関連している可能性もある。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2019 2018 2017
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)
Frontiers in Psychiatry
Volume: 10 Pages: 1-11
10.3389/fpsyt.2019.00252
分子精神医学
Volume: 17 Pages: 71-75