Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
動物の生存には、餌(ターゲット)を見つけて捕獲するという行動が必須である。餌捕獲運動の生態学的、運動学的な研究は進んでいるが、それを司る神経回路の理解はあまり進んでいなかった。本研究では、シンプルな脊椎動物であるゼブラフィッシュ幼魚を用い、餌捕獲運動を司る神経回路の解析を行なった。特に、餌捕獲運動の第一フェーズをなす、対餌定位運動(視認識したターゲットに対して体を定位させる運動)の神経基盤の解明を目指した。まず、コンピューターディスプレイによる疑似餌提示により、対餌定位ターン運動を誘発する系の開発を中心に研究を行った。具体的な実験は以下である。幼魚を2つのカメラで捉えてその位置を演算し、Z軸方向、およびX-Y平面上で、ターン運動を引き起こすのに適切な位置に幼魚が存在している状態を割り出した。そのうえで、ゼブラフィッシュ幼魚の餌であるゾウリムシの動きを模した疑似餌をコンピュータースクリーン上に提示し、それに対してのターン定位運動を引き起せるかどうかと検討した。その結果、一定の頻度で、疑似餌に対する定位運動を引き起こすことに成功した。ただし、その頻度が、5秒の試行期間で33%程度と必ずしも高くない状態でる。視覚提示を最適化する研究を進めており、頻度の向上を目指している。また、施行中に、10%程度の頻度で自発的なターン(これは、疑似餌の方向に定位しない)が起こり、将来的にカルシウムイメージングでノイズを引き起こすことが懸念された。この点を改善するため、対餌定位ターン運動に伴う眼球輻輳運動を利用して、対餌定位ターン運動と自発的ターンとを区別する実験を行った。その結果、連続画像情報から眼球輻輳運動を自動的に抽出することに成功した。視覚提示を最適化の後に、ターゲット定位運動に携わる神経細胞をカルシウムイメージングによって同定する予定である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。