Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
稲作発祥の地である中国では、稲作文明黎明期には稲作とともに、堅果類やヒシ属植物などの野生植物の利用が行われ、それらは補完的な食糧であったと推測されており、長江下流域の多くの遺跡からは、ヒシ属植物の痕跡が発見されている。その中でも浙江省田螺山遺跡では、発掘されたヒシの果実が時代を重ねるとともに大型化していることから、野生ヒシを改良すべく人為淘汰が生じた可能性が指摘されている。現在、中国では野生種よりも可食部が顕著に大型である多様な作物ヒシが栽培されており、稲とともに水辺環境で育成されてきたとものと推測される。本研究では、まず混乱しているヒシ属植物の系統関係を新たに遺伝学的手法で再度検証するとともに、栽培化された大型ヒシ(トウビシ)の起源や形態的特徴について明らかにした。まず、新たに開発された葉緑体DNAマーカーを利用した解析を試みた。主に試料の採集が容易な日本産の野生種と栽培種合わせて約30集団を対象に、これらの試料を利用して分子系統解析を行った。結果、種間の大まかな系統関係が明らかになるとともにトウビシは日本産種 の中では野生種オニビシと遺伝的に近似しており、このことから中国においても同様にオニビシを改良した可能性が示された。さらに種内の系統関係、特にオニビシとトウビシの詳細な系統関係を明らかにするためにMIG-seq法を用いたゲノムワイドな多型解析を行った。その結果、ヒシ、オニビシおよびトウビシの種内系統を明らかにした。オニビシは遺伝的にいくつかのグループに分かれ、そのうち1つの系統からトウビシが派生していることが明らかとなった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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