Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
光活性化型アデニル酸シクラーゼ(PAC)を対象にTG測定、SAXS測定、CD測定を行い、光励起による揺らぎや高次構造の変化を時間分解で調べた。その結果、発色団近傍の反応がヘリックス構造を通じて伝搬し、最終的にACドメインが解離することを明らかにした。また反応中間体の揺らぎが増大することがわかり、これが続いて起こる構造変化の駆動力である可能性を示した。続いて分子夾雑環境におけるPACの動的挙動や酵素活性を調べた。PEG200を高濃度で加えた環境においては変性温度の低下が観測され、主に脱水和の影響により不安定化したと考察した。続いて光反応および反応中間体の揺らぎをTG法により測定したところ、PEG200濃度の増加に伴い、反応速度および反応収率の低下が観測された。これはGlycerol中でも同様の結果が得られたため、粘度の増加が原因と結論した。一方で、中間体における揺らぎの増大は希薄バッファー中に比べて増加した。またHPLCを用いた酵素活性測定の結果、酵素活性の低下(15倍の低下)が観測された。これは反応速度や反応収率の低下が原因と考えられる。Ficoll70、BSAなど巨大分子を高濃度で加えた環境では、変性温度の上昇(構造の安定化)が観測され、これは主に排除体積効果によるものと考察した。TG法による反応・揺らぎ検出の結果、反応中間体の揺らぎが抑制され、興味深いことに、希薄バッファー中とは全く異なる反応を起こすことを見いだした。詳細な解析の結果、ACドメインの解離反応が抑制されることを明らかにした。酵素活性の著しい低下が観測され(30~40倍の低下)、ACドメインの解離反応が機能に必須な反応であることを示した。以上の分子夾雑研究を通じて、「脱水和・粘性・排除体積の多様な効果」、「安定性と揺らぎのトレードオフ関係」、「分子反応と酵素活性の高い相関関係」に関する定量的知見を得た。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Phys. Chem. B
Volume: in press Issue: 15 Pages: 3210-3218
10.1021/acs.jpcb.9b00196
Analytical Chemistry
Volume: 91 Issue: 18 Pages: 11987-11993
10.1021/acs.analchem.9b02897
120006731124
The Journal of Physical Chemistry B
Volume: 123 Issue: 51 Pages: 10939-10950
10.1021/acs.jpcb.9b09685