Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
細胞内をサブセルレベルで定量的に加温する技術の開発が本研究のメインテーマである。ここで、一貫して鍵となる材料は、近赤外光を熱に変換できる有機色素である。昨年度、シアニン系の化合物を中心にスクリーニングを行ったが、今年度も、これを継続し、ある種の限られた金属ナフタロシアニンが特異的に高い光熱変換効率を示すことを見出した。ただし、合成の難易度が高く量合成が困難であったため、次善策である直鎖シアニン系の色素を選択し、これに細胞小器官へターゲットできる機能を付与したものを合成した(ER、ミトコンドリア、油滴)。研究期間中、それぞれの小器官に対応する蛍光温度センサーを組み合わせ、光照射に伴う温度変化を定量的に評価したが、最終的に、細胞機能を大きく変化させるたけの熱量が得られなかった。これと併行して、過去に申請者らが確立済の手法を採用し、最も高い光熱変換効率を示す色素をポリマー粒子に包埋、同時に、そこに蛍光温度センサーを組み込んで、細胞内を加熱する方法にも着手した。これを用いて、細胞質の局所を加温しながら、細胞機能の熱力学的な制御に取り組んだ。特に、申請者が独自に持つ蛍光ATPセンサーを用いて、局所加温がエネルギー代謝系に与える影響を解析した。結果、がん細胞のミトコンドリアの傍の空間に、温和な刺激を加えると、ミトコンドリアのATP濃度が徐々に下がる一方、細胞質のATPの一過的な上昇が見られた。これは、熱刺激によってミトコンドリアATPの合成阻害が生じたことを細胞が感知し、減少したATPの分を補填するように解糖系が機能したものと考察している。温和な刺激によって、エネルギー代謝系に変化を与えることができることを示した一例である。以上、当初想定した結果には到達できなかったが、次に繋がる結果を得ることができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2019 2018 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)
Front. Bioeng. Biotechnol.
Volume: 7
10.3389/fbioe.2019.00005