Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
根粒菌などのバクテリアやカビ等の単細胞微生物と、植物との相互作用に関する分子メカニズムは、これまでに、植物病理学という文脈の中で研究が発展し、様々な知見が得られている。一方、多細胞動物-多細胞植物相互作用に関する分子遺伝学的研究は、研究に適した実験系が確立されていないこともあり、ほとんど行われていない。さらに、生物間相互作用時には、虫こぶの形成や毒素の生産開始等、植物は、特殊な形態変化や生理応答を引き起こす場合がある。このことから、生物間相互作用の研究は、生物間コミュニケーションの分子機構の解析のみならず、これまで未知であった植物の新しい遺伝子機能の解析も期待できる。一方、植物感染性線虫は、農業的に大きな被害を与えるために、これまでに、農学的研究が精力的に行われてきた。しかし、植物感染性線虫ー植物間コミュニケーションに関する知見はほとんどない。植物感染性線虫の植物の根への誘引課程は、多細胞動物-植物間相互作用に関わる分子基盤を確立するだけでなく、農業的な応用展開を推進するためにも極めて良い実験系であると思われる。そこで、本研究では、生物間コミュニケーションに焦点を当て、植物の線虫誘引・忌避物質の同定を目指し、以下の項目に関する研究を実施した。1、種子ムシゲルに含まれる植物感染性線虫誘引物質の同定について、フラックスシードを用いて、ムシゲルを分離し、そこから、様々なカラムで精製した結果、多糖を分離した。成分分析などの結果、RG-Iである可能性が示唆された。2,線虫誘引活性を持つ化合物を発見するために、ケミカルライブラリーのスクリーニングを行った。線虫の入ったプレートに化合物を1つずつ塗布し、そこに線虫が誘引されるか否かで、スクリーニングを行った。その結果、線虫誘引候補化合物として、ポリアミンが見いだされた。
30年度が最終年度であるため、記入しない。