Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
人類の長期宇宙滞在を実現するためには、憂慮すべきリスク要因である宇宙放射線被曝の正確な影響評価が必要となる。そこで本研究では、地上の放射線環境ではほぼ存在しない一方で、宇宙放射線被爆において寄与が大きい、高LET重イオンの生物影響を、量研高崎研の重イオンマイクロビーム装置を用いて明らかにすることを研究の目的とする。2019年度は、集束式重イオンマイクロビーム装置で重イオンの生物照射効果の解析を実現するための技術開発を進めた。これまで、試料皿の広範囲に播種した培養細胞集団全体をマイクロビームで照射するために、試料ステージを用いてカメラ視野をずらしながら撮像する必要があった。しかし、この手法では、カメラ視野境界に存在する細胞が正確に認識できず、正しい照準を行えない問題が生じる。そこで、線虫C. elegans照射用に開発した生物用マイクロチップ技術を応用した、細胞播種用チップを開発し、細胞をカメラ視野サイズ以下で分割して播種する技術を確立、照射細胞の位置検出を正確化した。また、これらの培養細胞照射技術の開発と並行し、集束ビームで動物個体の照射を行うための試料調整技術の開発も進めた。集束式ビームは、ピンホールで微小なビームスポットを形成するコリメーション式ビームと異なり、加速器の状態変化に伴いビームスポット位置が変動する。そのため、正確な照準には、照射対象の生物試料とビームを検出するシンチレータを同一の顕微鏡焦点面に配置した試料が必要となる。そこで、マイクロチップに封入した線虫と高感度なシンチレータを同一平面で配置できる試料フレームを開発し、ビーム径8 μmの炭素イオンマイクロビームで、線虫の中枢神経を照準し照射することに成功した。これらの技術の開発で、培養細胞および動物個体を用い、高LET重イオンの生物効果を解明する技術基盤を確立できた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019 2018
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms
Volume: 465 Pages: 101-109
10.1016/j.nimb.2019.12.028
BioMed Res Int.
Volume: 2020 Issue: 1 Pages: 4703286-4703286
10.1155/2020/4703286
Quantum Beam Science
Volume: 3 Issue: 2 Pages: 13-13
10.3390/qubs3020013
International Journal of Radiation Biology
Volume: 96 Issue: 2 Pages: 172-178
10.1080/09553002.2020.1683639