Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究課題では、ヒト腎臓発生過程の成熟速度決定メカニズムの解明を目指し、「研究代表者の開発したヒトiPS細胞から腎臓オルガノイドを誘導する分化系」と「1細胞トランスクリプトーム技術」を組み合わせた実験手法により、腎臓細胞の成熟速度の不均一性が生じる原理を調べた。まずは、ヒトiPS細胞から作製した腎臓オルガノイドを、誘導開始後15、19、23,27,31日目の計4時点で継時的にサンプリングし、1細胞トランスクリプトーム解析を行なった。その結果、幼若な腎臓前駆細胞が、糸球体、近位尿細管、遠位尿細管、腎間質と言った複数の系譜へと分化してゆく様子が発現遺伝子の変化に基づき視覚化された。次に、近位尿細管の系譜に着目し、monocle解析により近位尿細管の成熟度を表す擬似時間軸を設定し、サンプリングの日にち毎に細胞の成熟度分布を解析した。近位尿細管細胞の成熟速度に関する細胞間ダイバーシティを視覚化し解析した結果、すべての近位尿細管細胞が一様に成熟化するのではなく、様々な成熟度を持つ細胞が混在しつつ、全体として成熟化していく様子が分かった。そこで、細胞間で成熟度の違いを生む原因を知るために、サンプリングの日にちが異なるにも関わらず同じ成熟度にいる細胞群を比較し、その遺伝子発現の違いを調べた。同じ成熟度にある細胞同士を比較することで、成熟度依存的なマーカー遺伝子を避け、成熟速度に関わる遺伝子のみを検出した。その結果、ある特定の細胞内受容体を起点とするシグナルの下流遺伝子が、成熟速度の速い細胞でより強く発現していることが明らかになった。実際、これらのシグナルを人為的に正に誘導する操作を腎臓オルガノイドに対して行うと、近位尿細管における成熟度マーカー遺伝子の発現の上昇が見られた。本研究により、ヒトiPS細胞から作製した腎臓オルガノイドにおける近位尿細管の成熟速度の調整機構を見出すことができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Current Opinion in Biomedical Engineering
Volume: 13 Pages: 144-151
10.1016/j.cobme.2020.03.003
Science Advances
Volume: 6 Issue: 2 Pages: 2746-2746
10.1126/sciadv.aaw2746
実験医学別冊 決定版 オルガノイド実験スタンダード
Volume: 別冊 Pages: 190-200
Nature Methods
Volume: 16 Issue: 1 Pages: 79-87
10.1038/s41592-018-0253-2
http://cdiversity.umin.jp/member/kobo/takasato.html