Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
中期~後期旧石器時代の移行期(約4万年前)は、西アジアでは、ネアンデルタール人からホモ・サピエンスへの交替期である。この時代は炭素14年代測定法が適用できる限界に近いため、得られたデータの十分な検討が必要である。近年、二次的に混入した外来炭素をより効果的に除去する方法が考案され、この時代の炭素14年代測定をより厳密に行うことが可能となった。ホモ・サピエンスのアジアへの拡散や文化史についての更なる理解のために、「パレオアジア文化史学」で実施しているアジア地域の遺跡発掘で得られた試料に対して、最新の炭素14年代測定法を適用し、信頼できる炭素14年代データを得る。
中期~後期旧石器時代の移行期(5万年前から3万年前頃)の信頼できる炭素14年代データを蓄積し、現生人類のアジアへの拡散や文化史の正しい理解に寄与するために、2020年度は(1)中期~後期旧石器時代移行期における炭素14年代の信頼性の評価方法の検討、(2)パレオアジア文化史学プロジェクト関連試料の炭素14年代測定を実施した。測定試料の種類や年代測定の信頼性、測定試料と考古学情報との関連などの項目から、既存の炭素14年代を評価する方法は先行研究により考案されている。しかし、これらの既存の評価基準には(1)年代測定の信頼性に関わる評価項目と得られた年代の解釈に関わる評価項目の重み付けが同じ、(2)単一のデータよりもデータセットの評価が高い、(3)年代データの採用/不採用の最終判断の基準が恣意的などの問題点がある。研究内容や研究地域の特性により判断の基準は異なる可能性がある。したがって、評価基準を設定するのではなく、各補正の有無や補正の方法などの年代データの信頼性に影響を与える項目を明示し、起こりうる年代の最大のずれ幅など年代データに含まれる不確かさを明確にすることが重要である。パレオアジア文化史学プロジェクトの枠組みの下で、アジアの広範囲(イラン、中国、日本)から採取された炭化物53試料、抽出済みコラーゲンを含む骨8試料、貝4試料、泥炭1試料の炭素14年代測定を実施した。名古屋大学宇宙地球環境研究所にて炭素14測定のための試料調整を行い、同研究所が運営するHVEE社製3MVタンデトロン加速器質量分析装置で炭素14測定を実施した。試料調整の過程で混入した炭素の影響や加速器質量分析装置の安定性の検討を十分に行い、信頼できる炭素14年代を得た。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (4 results)
PaleoAsia Project Series:研究計画A03 2020年度 研究報告書
Volume: 34 Pages: 32-33
PaleoAsia Project Series:研究計画A03 2019年度 研究報告書
Volume: 27 Pages: 29-31