Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では,金属錯体が形成する過程で生成する多種の中間体を釣り上げて構造を統計的に解析すること,および中間体の複雑な構造が組織だった構造へと変換される動的な過程を観察することを通して,錯体が形成する機構を解明し,さらにはその知見を錯体の構造制御へと繋げることを目標とする.配位高分子構造のナノメートルサイズの初期中間体の構造を原子分解能で決定することで,非対称性(アシンメトリック)である非秩序構造から周期的な秩序構造へと導かれる錯体形成の反応機構を求める.
本研究では,分子集合の過程で次々と生成しては消えていく中間体生成物(反応中間体)の原子レベル構造解析を目的として,化学修飾カーボンナノホーン(CNH)を用いて溶液中から釣り上げ,単分子原子分解能時間分解電子顕微鏡法(SMART-EM)によりその構造を捉えることに成功した.我々は,芳香族アミンを前駆体としたジアゾニウム塩生成を経たin situラジカル生成およびその付加反応により,芳香族化合物でCNH先端を直接化学修飾できることを新たに見いだした.本手法に基づき,亜鉛テトラポルフィリン(ZnTPP)の集合過程における初期クラスターを捕捉するための「化学釣り針」として働く亜鉛テトラフェニルポルフィリン錯体(ZnTPP)を結合したCNHを新たに合成した.ZnTPPの溶液から回収したZn-TPP CNHのSMART-EMイメージングにより、ZnTPPが数個のZnTPP分子を捕獲して,可動性のある分子クラスターを形成していることを明らかにした.SMART-EMの動画ではクラスターが揺らいでおり,3つの分子が完全に対面して積層している画像シミュレーションと一致せず,むしろ無秩序であることから,ZnTPPの分子集合過程の初期においては周期性の構造体は形成せず,乱雑なクラスターが生成することを実験的に証明した.これは理論で示される二段階核形成のモデルと一致しており,ポルフィリン分子集合における核前駆体を実験的な映像として初めて捉えた成果である.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 4 results) Presentation (9 results) (of which Invited: 5 results) Remarks (1 results)
Bulletin of the Chemical Society of Japan
Volume: 94 Issue: 2 Pages: 463-472
10.1246/bcsj.20200333
130007995378
Volume: 93 Issue: 12 Pages: 1603-1608
10.1246/bcsj.20200232
130007955884
Nature Communications
Volume: 10 Issue: 1 Pages: 3608-3608
10.1038/s41467-019-11564-4
Communications Chemistry
Volume: 2 Issue: 1 Pages: 128-128
10.1038/s42004-019-0232-2
http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/users/common/NakamuraLab.html