Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究の概要は、5配位リンと4配位アルミニウム間の結合および5配位リンと3配位アルミニウム間の結合という二つの新種の結合を創り出すものである。リン原子を中心とするアニオンをアルミニウムに付加させることでリン原子とアルミニウム原子間の結合を形成する。新しい結合をもつ化合物の特性を分光学的測定、X線結晶構造解析、理論計算、化学反応によって解明する。結合を形成する二つの原子をキラル中心とすることで、多様な光学異性体を選択的に合成する。基礎的な化学結合の研究に基づき、新たなキラル中心をもつ機能性化合物の合成を行う研究である。
異なる種類の典型元素間の結合では、各元素の特性に加えて、両元素の軌道間相互作用や分極といった非対称性に起因する多様な性質が見られる。そのような非対称異種元素間結合をもつ典型元素化合物を遷移元素と組み合わせることによって、従来にはない性質をもつ金属錯体を創出することが可能となる。本研究では異なる配位状態にある非対称異種元素間結合をもつ化合物として、3配位リン原子と4配位ホウ素原子が結合を形成するアニオン性リン-ホウ素結合化合物(ホスフィノボラート)を合成した。DFT計算を行なってリン原子の孤立電子対がHOMOとなることを確認し、アニオン性リン-ホウ素結合化合物を金属錯体のホスフィン配位子としての活用の可能性を明らかにした。ホスフィノボラートを配位子として有する金錯体ならびイリジウム錯体を合成し、X線結晶構造解析によりその構造を明らかにした。イリジウムジカルボニル錯体のIR吸収スペクトルにおけるカルボニル基の伸縮振動が低波数側に観測されたことから、ホスフィノボラートがσ供与性の強いホスフィンとして機能することがわかった。ホスフィノボラートと単体セレンとの反応で得られるホスフィンセレニドの77Se NMRにおける結合定数が小さく、リン原子の孤立電子対のp性が大きいことも明らかにした。ホスフィノボラートの高いσ供与性を利用して、金触媒による末端アルキンのヒドロアミノ化反応をおこなったところ、高収率で反応が進行することを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Polyhedron
Volume: 185 Pages: 114841-114841
10.1016/j.poly.2020.114841
https://www-cc.gakushuin.ac.jp/~20180132/research.html