Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、細胞膜の内部表面にメッシュ状細胞骨格蛋白質が存在し、細胞の内外で非対称な膜構造である点に着目し、細胞膜を金属錯体の新たな反応場として利用するための方法論の確立を目指す。具体的には、メッシュ状細胞骨格蛋白質に存在する化学修飾可能なアミノ酸残基へ段階的に異なる金属錯体を修飾することで、内部表面のみに異種金属錯体を選択的に固定化し、金属錯体間の反応制御を試みる。
人工の球状脂質膜であるリポソームは、比較的取り扱いが容易であることから、金属錯体との融合が進められてきた。しかし、リポソームは対称膜であるため、外表面と内表面の両方に金属錯体が配向し、また、錯体間の相対配置が定まらないため、錯体の反応効率の低下を引き起こす。そこで本研究では、新たな金属錯体の制御空間として「非対称膜」である細胞膜に着目した。細胞膜の内部表面には、細胞骨格蛋白質が存在し、膜の内外で異なる構造を有する。つまり、細胞骨格蛋白質を足場として金属錯体を異方的に固定化することで、金属錯体の配向と相対配置が制御でき、精密な錯体の反応制御に繋がると考えた。本年度は、細胞膜として赤血球膜を用いて (1) 発光性分子の修飾による光誘起エネルギー移動反応、および (2) 異種金属錯体の修飾による光触媒反応に取り組んだ。光誘起エネルギー移動反応では、エネルギー供与体とエネルギー供与体を細胞骨格蛋白質のリシン残基、またはシステイン残基へ化学修飾した。分子を修飾した赤血球膜の蛍光スペクトル測定より、エネルギー移動反応が進行することを確認した。また、異種金属錯体の修飾による光触媒反応では、可視光で励起可能な光増感剤と触媒を細胞骨格蛋白質へ化学修飾し、二酸化炭素の還元反応の進行を確認した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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