Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、沈み込み帯における深部スロー地震の震源域に相当する温度・圧力・流体環境下で形成された蛇紋岩体の構造解析を行い、1)蛇紋岩がプレート境界に沿ってどのような変形挙動を示すのか、2)その摩擦・流動特性が低周波地震などのスロー地震の特徴である「ゆっくりとした剪断破壊」を起こしうるのかについて明らかにする。
西南日本の深部スロー地震発生域に相当する温度圧力条件下で形成された四国三波川帯の前弧マントルウェッジ蛇紋岩について構造岩石学的解析を行った。研究成果の概要は以下の通りである。蛇紋岩はblock-in-matrix構造を呈し、ブロックは高間隙流体圧下での剪断・開口破壊に伴って形成した。マトリックスをなす蛇紋石(アンチゴライト)の一部は結晶方位定向配列を示し、より細粒である蛇紋石ほど波動消光や亜粒界が発達していた。蛇紋岩は脆性破壊(ブロック)と転位クリープ(マトリックス)が混合した変形機構をもっていたと言える。蛇紋石の摩擦則および流動則を用いて構成された西南日本のプレート境界に沿った強度断面図に基づくと、(1)脆性破壊は流体圧が静岩圧あるいは過剰静岩圧状態で起こること、(2)転位クリープはやや低い流体圧下において卓越することを示唆する。深部スロー地震に特徴的なEpisodic Tremor and Slipは、プレート境界域における流体圧の上昇・下降サイクルに起因した蛇紋石の変形機構の遷移に起因して発生している可能性がある。本結果は査読付き国際学術誌に投稿中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 2 results) Presentation (10 results) (of which Invited: 1 results)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi)
Volume: 129 Issue: 4 Pages: 473-489
10.5026/jgeography.129.473
130007921864
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
Volume: 21 Issue: 9 Pages: 1-13
10.1029/2020gc009165
Journal of Structural Geology
Volume: 140 Pages: 104151-104151
10.1016/j.jsg.2020.104151
Earth and Planetary Science Letters
Volume: 531 Pages: 115967-115967
10.1016/j.epsl.2019.115967