Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
地下深部,高温・高圧の環境下,比較的低速度の変形を受けている断層では,ある程度の幅を伴った剪断帯に,流動変形メカニズムによる安定な変形(塑性変形)が進行する.これらの塑性変形は,変形速度の増加に伴い変形に必要な強度も増すため,断層の加速を,つまり地震の発生を抑制する.では,これらのメカニズムが卓越している場所は永久に地震を起こさないでいられるだろうか?この問いに答えるため,塑性変形と摩擦滑りの両方のメカニズムを再現できるアナログ物質(岩塩と白雲母の混合物質)を用い,変形組織の変遷と関連させ,剪断応力制御様式による自発的な加速が起きる条件を明らかにする.
本研究の目的は,飽和塩水に浸した岩塩と白雲母の粉末を断層模擬物質に,剪断応力制御による変形をあたえ,断層の自発的な加速と暴走すべりへの過程を観察することで,ゆっくり地震から大地震への移行過程を解明することにある.ゆっくりとした安定すべりを起こせる流動変形が卓越する領域から剪断の集中を経て自発的な断層すべりの加速と暴走(地震)を室内実験の手法を用いて再現し,その暴走が起きる要因を明らかにする.R2年度は試料アセンブリの加工精度が原因の応力のばらつきが原因で起こるすべりの加速と減速の変化を抑えるため,修正したアセンブリを用いて追実験を実施した.追実験からも,R1年度の成果同様,剪断応力が最大剪断強度を越えたタイミングから暴走すべりに至るまでの時間は数時間内に発生すること,すべり速度が20ミクロン/秒あたりであるという規則性を得ることができた.次に,この暴走すべりの発生と内部での亀裂の進展に伴う微小破壊音の関係を探るべく,AE信号測定の準備に取り掛かった.しかしながら,装置の不具合の修理のため,実施期間を延長し,R4年度へ繰り越すこととなった.不具合の修理後,破壊音の検知実験を実施したものの,装置の振動によるノイズが大きく,解析が難しいことがわかった.実験後の試料は薄片にし,観察を実施した.R1年での成果と同様,暴走すべり発生時に剪断が回転側のピストンと断層模擬物質の境界に生じやすいことがわかった.本研究の成果は現在論文として執筆中である.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2019
All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)