Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
リボソームペプチドは、遺伝子の転写と翻訳による前駆体合成と翻訳後修飾により生合成されるペプチド系天然有機化合物の一群であり、顕著な生物活性を示す化合物が多い魅力的な化合物群である。微生物ではバクテリアで盛んに研究されているが、カビにおける例は少なく詳細な解析例はustiloxin Bのみである。本研究では、植物病原性糸状菌が生産するphomopsin A等、他の生合成経路が未解明の化合物についても、生合成遺伝子の異種発現や生合成酵素の生化学解析により明らかにする。それにより、カビが生産するリボソームペプチドの構造多様性創出機構を解明する。
本研究課題では、糸状菌由来リボソームペプチド (RiPPs) の構造多様性創出機構に焦点をあてている。具体的には、①ホモプシンA (1) などの糸状菌由来RiPPsや②糸状菌由来非リボソームペプチド (NRP) ・シクロクロロチン (2) の生合成研究を行い、これらの化合物の生合成におけるペプチドの修飾機構を解明する。化合物2はNRPに分類されるが、糸状菌由来RiPPsの生合成に関わるDUF3328遺伝子のホモログがペプチドの修飾に関与すると推測し、対象とした。今年度は①、②について研究を行った。化合物1の生合成については、前年度に確立した生産菌の形質転換法を用いて、生合成遺伝子のノックアウト株を構築した。各形質転換体の代謝産物の解析により、化合物1が有するデヒドロアミノ酸の生合成やチロシン残基のハロゲン化に関わる遺伝子を明らかにした。また、化合物2についても同様に、生産菌内での標的遺伝子のノックアウトにより機能解析を進めた。生合成遺伝子クラスターに存在する3種のDUF3328遺伝子がそれぞれ、ハロゲン化、分子内アシル基転移、水酸化に関わることを明らかにした。これらの結果は、麹菌を宿主とする異種発現実験の結果からも支持された。従来、DUF3328遺伝子は糸状菌由来RiPPsの生合成における酸化的環化・水酸化反応に関わることが知られていた。本研究により、DUF3328が上記の反応以外にハロゲン化など多様な機能を持つ酵素を含む一群であることが示唆された。また、DUF3328がNRPの修飾に関わることも示した。これにより、DUF3328がRiPPsだけでなく様々な化合物の修飾に関与することが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results) (of which Invited: 1 results)
Organic Letters
Volume: 23 Issue: 7 Pages: 2616-2620
10.1021/acs.orglett.1c00525