Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
地球上の固体物質の大半は、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)が特定の結合を形成し、酸化物や塩化物等の形で存在している。酸化物には安定な化合物が多く存在するが、単純なハロゲン化物では、対応する酸化物と比較して化学的・熱的安定性に劣り、デバイスとしての利用が困難である。本研究では、オキシ塩化ランタンを始めとする希土類オキシ塩化物の塩化物イオン伝導性について系統的な評価を行い、さらにはハロゲン化物イオンを塩化物イオンから臭化物やヨウ化物イオンへと拡張し、一連の希土類オキシハロゲン化物の結晶構造や結合状態とハロゲン化物イオン伝導性との相関を精査することで、複合アニオン効果に関する知見を得る。
本研究では、希土類オキシハロゲン化物におけるハロゲン化物イオン伝導性について、詳細かつ幅広い評価を行うことにより複合アニオン効果を調べ、さらに従来より高いイオン伝導性を示す新規なハロゲン化物イオン伝導性固体を得ることを目的としている。2020年度は、オキシ臭化ランタン(LaOBr)の導電率向上のため、La3+イオンサイトに、イオン半径が大きくかつ低価数のSr2+イオンに加え、イオン半径が小さくかつ低価数のZn2+イオンまたはMg2+イオンを同時に添加することにより、格子サイズの制御によりLaOBr構造を保持しながら臭化物イオン欠陥を多量に導入した試料の合成を行った。その結果、La0.8Sr0.15Mg0.05OBr0.8において最大の導電率が得られ、LaOBrと比較して300℃で1400倍高い導電率を示すことが明らかになった。さらに、La0.8Sr0.15Mg0.05OBr0.8について改良型Tubandt電気分解を行うことにより、固体中の臭化物イオン伝導の定量的な実証を行った。また、2019年度の研究において、オキシ塩化ランタン(LaOCl)に2価のCa2+イオンまたはMg2+イオンを導入した場合にLa0.8Ca0.2OCl0.8の方が高い導電率を示す要因について、結晶構造解析および結合状態の解析により明らかにしている。そこで2020年度は、理論計算の観点からLa0.8Ca0.2OCl0.8における塩化物イオンの伝導メカニズムの解明を行った。その結果、Ca2+添加により生じるアニオン欠陥は、酸化物イオンサイトよりも塩化物イオンサイトの方がエネルギー的に安定であることがわかった。さらに、塩化物イオン移動の際のエネルギー障壁は、実験値とおおよそ一致していた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 2 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Invited: 1 results)
Dalton Transactions
Volume: 50 Issue: 1 Pages: 151-156
10.1039/d0dt02502j
Materials Letters
Volume: in press Pages: 129211-129211
10.1016/j.matlet.2020.129211
Science Advances
Volume: 7 Issue: 43
10.1126/sciadv.abh0812
セラミックス
Volume: 59 Pages: 603-606
Journal of Asian Ceramic Societies
Volume: 8 Issue: 3 Pages: 925-929
10.1080/21870764.2020.1793877
Journal of the American Ceramic Society
Volume: 103 Issue: 1 Pages: 297-303
10.1111/jace.16727