Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
最近、複合アニオンを利用した可視光応答型水分解光触媒に注目が集まっている。特に、強誘電性を併せ持つ極性層状酸ハロゲン化物光触媒Bi4-xLaxNbO8Clは、従来トレードオフの関係にあった高い可視光応答性と光安定性を同時に実現していること、また、高い光触媒活性を示すことから、一層の高活性化に向けて急速に研究が進められている。本研究では、光励起されたキャリアの安定性に、この物質が示す強誘電性に起因する電荷ドメインの形成が関与している可能性に着目し、強誘電性の評価とドメイン観察によって、本系の示す高い光触媒活性の起源を解明する。
本課題が注目するBi4NbO8X(X=Cl,Br)は、共に1100 K程度で高温相から中間相へ構造相転移し、最終的に765 Kと588 Kでそれぞれ強誘電相転移することが知られている。この強誘電性の発現や構造相転移に伴う微細構造の発達と、高い光触媒活性の関連が議論されているが、報告されている強誘電相の空間群には不明な点が多い。本研究では、まずこれらの物質に対して電子回折を行い、強誘電相の空間群を明らかにすることを目的とした。その上で、Bi4NbO8X (X=Cl,Br) が示すドメイン構造や結晶構造の解明を目的とした。観察用試料は、FIB法によって作製した。電子回折実験により得られた消滅則から、空間群は過去の報告と異なることを見出し、それぞれに対する空間群を特定した。X=Brに対する暗視野像からは、本系には幅100 nm前後の強弾性ドメインが発達していることが明らかになった。またHAADF-STEMおよびABF-STEM観察結果の解析から、本系の強誘電性が、報告されているBiO層の歪みではなく、NbO6八面体中のNb原子のオフセンターであることが明らかになった。さらに、このNb原子のオフセンターは、頂点Oに向かうものではなく、O原子-O原子間の隙間に向かうものであることも明らかになった。酸素8面体をベースとする強誘電体では、中心金属原子は頂点酸素方向にシフトすることが多く、構造相転移の観点から興味深い。現在、これらの結果から予想される構造モデルを用いて、放射光粉末X線回折および粉末中性子回折による結晶構造解析を進めるとともに、電子状態の観点からも本系の構造相転移の特徴の解明に取り組んでいる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Applied Physics Express
Volume: 13 Issue: 9 Pages: 091004-091004
10.35848/1882-0786/abb287
Physical Review Materials
Volume: 3 Issue: 8
10.1103/physrevmaterials.3.084414
日本結晶学会誌
Volume: 61 Pages: 157-158
130007698395
http://mori-lab.mtr.osakafu-u.ac.jp/