Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究計画はPb,Biを含む酸フッ化物における特異的な物性の開拓と起源の解明を目的とする。アニオン複合化物においては、アニオンの組成・秩序度の制御が結晶構造および物性を支配する決定的な要因である。Pb2+やBi3+は6s2孤立電子対を有し、そのため異方的な化学結合を安定化することができる。この特性とアニオン複合化を組み合わせる事が、本研究計画におけるアニオンの秩序度を制御し、新たな構造と物性を実現するアプローチである。本研究計画では、主にPb,Biを含む酸フッ化物の新物質探索とその機能開拓を行う。
本研究課題において、領域内の研究者と協力し、主に以下のような成果を得ることができた。まずPbとBiを含む酸フッ化物において、その可視光応答光触媒性能の鍵となるのが6s,6p,2p軌道間のリバイスドローンペアー効果で説明出来るPbとBi、そしてOの相互作用であることを見いだした。そして、その設計に基づき、Biを含む新物質の合成に成功した。この物質が可視光を吸収することは確認済みであり、今後構造解析と触媒特性の評価を行い、成果として発表する予定である。また、全く同じ構造を持つPbを含む酸フッ化物とBiを含む酸化物の結晶構造を比較することにより、こちらにおいてもリバイスドローンペアー効果が大きな意味を持っていることを発見した。Pbを含む酸フッ化物では、構造内で酸素とフッ素が秩序配列しているが、そのときにフッ素が選択的に占有するサイトが、Bi酸化物においてもっともBi-Oの相互作用の強いサイトであることがわかった。つまり、フッ素は6s,6p-2pの相互作用を打ち消すように構造内で秩序配列し、異方的な共有結合の影響を弱めることにより、構造の安定化に寄与していると推察される。本研究成果も、今後のPb/Biさらには5s電子を持つSnを含む酸フッ化物などの物質設計を行う際に重要な指針となることが期待される。残念ながら2020-2021年度はコロナ禍による研究活動の制限により、進捗は期待していたほどのものとはならなかった。しかし、今後に繋がる指針となるべき成果を得ることには成功している。今後も本研究課題で得られた成果を活かし、酸フッ化物などのアニオン複合化物に関する研究を発展させていきたい。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)
Chemistry of Materials
Volume: 32 Issue: 11 Pages: 4832-4837
10.1021/acs.chemmater.0c01709
Journal of Materials Chemistry A
Volume: - Issue: 18 Pages: 9099-9108
10.1039/d0ta02883e
Chem Asian J.
Volume: 15 Issue: 4 Pages: 540-545
10.1002/asia.201901692
The Journal of Physical Chemistry C
Volume: 124 Issue: 3 Pages: 1844-1850
10.1021/acs.jpcc.9b09969
Journal of the American Chemical Society
Volume: 141 Issue: 43 Pages: 17158-17165
10.1021/jacs.9b06570