Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
植物細胞内で光エネルギーを吸収して光合成を行っている葉緑体は、使う光と捨てる光の量を調節できる「プロトン駆動力制御」という仕組みにより、過剰な光の吸収で強いダメージが生じることを防いでいる。一方私達の研究グループは、強いダメージが起きてしまった葉緑体を選び取って除去するクロロファジーという現象を発見してきた。よってそこには、プロトン駆動力制御で守り切れなかった葉緑体を見つけて除去するための情報伝達の仕組みがあるはずであり、その解明を本研究で目指す。さらに「壊れた葉緑体を除去する」ことが植物が成長するためにどのように重要なのかを評価し、太陽光の下で生きる植物が獲得した生存戦略の一つを解明する。
本研究の目的は、葉緑体内部のチラコイド膜で生じる光阻害が、細胞質のオートファジーマシーナリーを誘導するに至るシグナル伝達系と、その過程におけるプロトン駆動力のふるまいを明らかにすることである。R2年度は以下2項目について下記のような進展があった。【1】膨張葉緑体のプロトン駆動力測定:クロロフィル蛍光寿命を利用し、プロトン駆動力を形成するチラコイド膜の状態を、顕微鏡観察下で評価する系の構築を進めた。また、プロトン駆動力を解消する阻害剤の効果を検証し、その処理においても、葉緑体の形態異常が起こること、それに伴いクロロファジーが活性化することを見出した。よってプロトン駆動力の変動がクロロファジー誘導過程における一つの重要なシグナルとなることが示された。【3】包膜を介した浸透圧ポテンシャルと葉緑体膨張の関係評価:包膜を介した浸透圧ポテンシャルが異常になるトランスポーター変異株においては、光阻害時に、チラコイド膜への障害が増えなくともクロロファジー活性が上昇することを見出した。また、可溶性糖の葉緑体内部への過剰蓄積により包膜ポテンシャルが異常となる変異株では、光阻害処理無しで葉緑体の形態異常が起こり、クロロファジーが誘導されることを見出した。よって葉緑体包膜の膜ポテンシャルの異常、あるいはそれに伴う膜の傷が、葉緑体から細胞質に伝わる直接のクロロファジー誘導シグナルであることが強く示された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (9 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 9 results, Open Access: 8 results) Presentation (12 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 5 results)
BSJ-Review
Volume: 12 Issue: A Pages: 68-77
10.24480/bsj-review.12a8.00201
Plant Physiology
Volume: 183 Issue: 4 Pages: 1531-1544
10.1104/pp.20.00237
Plant Signaling & Behavior
Volume: 16 Issue: 3 Pages: 1861769-1861769
10.1080/15592324.2020.1861769
Plant and Cell Physiology
Volume: - Issue: 2 Pages: 229-247
10.1093/pcp/pcaa162
Volume: 181 Issue: 3 Pages: 853-854
10.1104/pp.19.01146
Volume: 180 Issue: 4 Pages: 1777-1778
10.1104/pp.19.00711
Volume: 180 Issue: 2 Pages: 686-687
10.1104/pp.19.00335
光合成研究
Volume: 29 Pages: 54-68
Volume: 179 Issue: 4 Pages: 1441-1443
10.1104/pp.19.00166