Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
子どもなどの若い個体では、脳を含めた臓器は成長能力をもつが、大人になると喪失する。成長能力の分子メカニズムが解明されれば、難病の治療戦略として役立つ可能性がある。本研究では、若年期に特有の遺伝子発現コントロール機構に着眼する。遺伝子は、オルタナティブ・スプライシングにより、1つの遺伝子がいくつもの姿に形を変えて機能する。本研究では、成長期の脳がオルタナティブ・スプライシングによって全く異なる遺伝子発現プロファイルを示す可能性を検証する。この研究が完遂すれば、若年期に特有の成長能力を引き出すことにより、難病の治療に役立てる新しい技術として活用できる可能性がある。
脳構築において、脳のサイズを決定する機構は完全には明らかになっていない。我々は、成長途上のマウス脳でトランスクリプトーム解析を行うことにより、成長の時間軸を構成する遺伝子群として「若年性遺伝子」を同定した。その結果、時間依存的なオルタナティブ・スプライシング (age-dependent alternative splicing, 以下"ADAS") が進行し、その責任分子がSrsf7であることがわかった。本計画では、Srsf7のノックアウトマウスを樹立し、同マウスではADASが異常を呈し、若年期のマウス個体でも加齢型のスプライシングが起こることを明らかにした。同マウスは成長不全とミエリン形成の遅延を示し、Srsf7によるADASが若齢期の脳が成長し発達するために必須であることがわかった。Srsf7によるスプライシング標的分子は、RBM7やEIF4A2など代謝に関連するものが多く含まれ、ADASにより、同化型バリアントから異化型バリアントにスイッチングすることが判明した。さらに、Srsf7の発現を培養細胞で抑制すると、細胞は「細胞若年性 (cellular juvenescence)」を喪失することがわかった。細胞若年性は、細胞の増殖性・分化能・同化能・老化抵抗性から構成される細胞の生理的性質である。以上のことから、若年期の脳構築にあたり若年性遺伝子であるSrsf7が発現し、神経細胞におけるADASを通して、神経細胞の成長発達に必要なバリアントを産生していることがわかった。以上の結果を国際学術誌から発表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 4 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
PLoS ONE
Volume: 16 Issue: 4 Pages: 1-14
10.1371/journal.pone.0248517
120007034814
Scientific Reports
Volume: 10 Issue: 1 Pages: 1-21
10.1038/s41598-020-74874-4
120006901557
iScience
Volume: 23 Issue: 3 Pages: 1-15
10.1016/j.isci.2020.100929
120006824468
eLife
Volume: 9 Pages: 536208-53068
10.7554/elife.53608
120007163373