Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
脳神経回路の構造データおよび脳組織における遺伝子発現データを統合し、機械学習技術を駆使することで、余りの複雑さ故これまで理解することすら不可能と思われてきた「脳神経回路の配線ルール」をデータからトップダウン的に解明することを目指す。さらには、明らかとなった配線ルールが軸索末端の走化性によってどのように実装されているのかを数理モデルを用いて検討することで、神経回路形成のボトムアップ的理解を目指す。
近年、全脳のコネクトームを網羅的に計測する大規模プロジェクトによって、神経ネットワーク構造および脳組織における遺伝子発現分布が明らかになりつつある。特に、Allen Brain Atlasではマウスの「神経コネクトーム」およびin situハイブリダイゼーションによる脳組織における「遺伝子発現分布」のデータが公開されている。これらのデータを統合することで、これまで未知であった軸索配線ルールを明らかにすることが本研究の目的である。具体的には、軸索の出発地と目的地における遺伝子発現ペアを取得し、脳構築に潜在する軸索配線ルールを、生物学的に解釈可能な形で、解読することを目指した。マウスの大脳皮質に注目し、大脳皮質における軸索投射や遺伝子発現分布を二次元平面上に射影するflatmap形式に変換した。そして、大脳皮質間の軸索投射における出発地と目的地の遺伝子発現ペアを取得した。そのデータを正準相関分析にかけることによって、軸索配線を制御する遺伝子コンビネーションの抽出を試みたが、生物学的に意義のある遺伝子コンビネーションを得ることができなかった。その原因として、単一ルールによる大脳皮質全体の軸索配線を仮定していたことが考えられた。そこで我々は、軸索配線の複数ルールをデータ駆動的に解読するための、各ルールを潜在変数とした軸索投射の生成モデルを構築し、それに基づく機械学習法を新たに開発した。想定以上にデータの前処理で時間を要してしまい、当初予定していた計画より研究は遅れてしまったが、データ処理のパイプラインを構築し、また最終目的に向けた数理的基盤を確立するに至った。今後も継続して、その手法を用いて、Allen Brain Atlasから取得したデータの解析を進めていく。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 4069-4069
10.1038/s41598-021-83396-6
https://sites.google.com/view/data-driven-biology/