Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
動物の発生において、複雑な組織や器官の構造が再現性良く構築されるためには、時間情報と空間情報の各々が厳密に制御されるだけではなく、両者の協調性が適切に保たれる必要がある。研究代表者等は、体節形成において位置情報を作り出すFgf-ERKシグナルがripply遺伝子の発現制御を介して分節時計を制御することを明らかにしてきた。一方、ripplyが発現するよりも以前の段階においても、Fgf-ERKシグナルと分節時計は相互に制御されていることが示唆されたため、本研究ではこの協調的な相互作用が起きている作用点を明確にし、それを生み出す分子機構の解明を目指す。
時間情報を作り出す分子時計と空間情報を作り出す分泌シグナルの相互作用が、秩序だった体節の形成には必要であると考えられている。研究代表者等は体節形成において位置情報を作り出すFgf-ERKシグナルが分節時計の中心をなすHairy遺伝子の転写をいかに制御するかという問題に着目し、これまでにFgf-ERKシグナルがripply遺伝子の発現制御を介して分節時計を制御する分子ネットワークの一端をゼブラフィッシュを用いて明らかにした。一方、ripply遺伝子の発現はFgf-ERKシグナルと分節時計相互に制御されていることが示唆されてきたが、ripplyが発現するよりも以前の段階で起きる両者の協調的な制御が体節の形成に関与する可能性は十分には明らかにされていない。そこで、本研究ではこの協調的な相互作用の実態と必要性を検討した。本年度は、時間情報と空間情報の相互作用の実態を、昨年度に樹立したher1-mCherryノックインフィッシュを用いて検討した。さらに、ripply1, ripply2のノックインフィッシュを用いて両ripplyタンパク質の動態と体節境界位置の関係を解析した。これらの実験から得られた結果と既知の分子間相互作用をもとに分子ネットワークを構築し、金沢大学の瓜生博士の協力によりこの分子ネットワークを基盤にした数理モデルを作成した。その結果、この分子ネットワークのみで生体時計のダイナミックな時間情報を体節の空間パターンに変換できることが示されるとともに、ripplyが発現するよりも以前の段階で起きるFgf-ERKシグナルの周期的変化がなくてもこの変換は起きることが示唆された。したがって、時間情報と空間情報の相互作用はripply遺伝子の発現前にも起きている可能性はあるものの、時間情報による空間情報の調節が必ずしもなくても体節形成は起きうるものと考えられた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 2019 Other
All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (9 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Peer Reviewed: 9 results, Open Access: 7 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results) Remarks (3 results)
eLife
Volume: 11 Pages: 69088-69088
10.7554/elife.69088
120007186797
Developmental Dynamics
Volume: 250 Issue: 7 Pages: 1036-1050
10.1002/dvdy.301
Volume: 10 Pages: 55108-55108
10.7554/elife.55108
120007041648
Science Advances
Volume: 7 Issue: 20 Pages: 2099-2099
10.1126/sciadv.abg2099
Nature Communications
Volume: 12 Issue: 1 Pages: 1-13
10.1038/s41467-021-27458-3
Development
Volume: 147 Issue: 24
10.1242/dev.194738
Volume: 146 Pages: 1-11
10.1242/dev.177063
Volume: 146 Issue: 2 Pages: 159343-159343
10.1242/dev.159343
Developmental Biology
Volume: 445 Issue: 1 Pages: 80-89
10.1016/j.ydbio.2018.10.019
https://www.nibb.ac.jp/sections/division/takada/
https://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2021/06/04.html
http://www.nibb.ac.jp/cib2/