Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
スプライシング因子変異により異常なスプライシング産物(異常なスプライシングバリアント)が産生されるのは明らかとなっているが、これより合成される異常タンパク質(ネオ・セルフ)をターゲットとしたがん免疫治療が可能かどうか検討する。本研究は、MSIがんと同様にネオアンチゲンの増加が予想されるスプライシング因子変異がんに対しても抗PD-1抗体を用いたがん免疫治療が効果があるかどうか明らかにする。
スプライシングに焦点をあてたがん研究およびがん治療の開発に取り組んでいる。様々ながんにおいてSF3B1、SRSF2、U2AF1などのスプライシング因子に体細胞遺伝子変異が報告され、がんにおけるスプライシング異常はネオセルフ抗原の原因の一つと予想されることから、がん免疫学的にもその重要性が示唆されている。根治の難しい難治性のがんである骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病において遺伝子変異はスプライシング因子にもっとも高頻度に認められることから、これらのがんに対するスプライシング因子がん変異を直接標的とした新規治療法の開発を行った。新規治療法の効果を検討するために、患者由来がん細胞を生着させたマウスモデル(PDXモデル)を作成した。12のPDXモデルのうち、スプライシング因子であるSRSF2遺伝子の変異を有するPDXモデルを含む10のPDXモデルにおいて治療による抗がん効果が確認された。RNAのスプライシング解析により、治療によって実際にスプライシングの異常が確認され、この異常はSRSF2遺伝子変異PDXモデルにおいてより顕著になることを見出した。以上の解析に加えて、SRSF2遺伝子変異と高頻度に共存するコヒーシンSTAG2遺伝子変異のモデルマウスの解析から、コヒーシン変異が染色体の3次元構造の変化などのエピジェネティックな異常を引き起こし、さらにRUNX1変異が加わることでその異常が加速し、発がんに至ることを示した。また、がんの主要なリスクとなっている慢性炎症と発がんの関係について潰瘍性大腸炎に着目した研究を行った。潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜でNFKBIZやZC3H12AといったIL-17シグナル経路の遺伝子の変異が高頻度に認められることや、これらの遺伝子に変異を獲得した上皮細胞が発がんしにくいことを証明した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Cancer Discov
Volume: - Issue: 6 Pages: 836-853
10.1158/2159-8290.cd-19-0982
Blood
Volume: 135 Issue: 17 Pages: 1467-1471
10.1182/blood.2019001815
Nature
Volume: 577 Issue: 7789 Pages: 260-265
10.1038/s41586-019-1856-1