Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本申請研究は、ヒトの免疫細胞を用いた自己免疫疾患発症モデルの樹立を目指す。健常人ドナー由来のiPS細胞から再生した各種組織を、免疫不全マウスに移植する。それらの組織が生着した事を確認した後に、健常人ドナーから採取した末梢血単核球を静脈注射により投与する。このようにしてヒト組織とヒト免疫系をマウスの中に共存する形で再構築する。このマウスにおいて免疫寛容のメカニズムを破綻させる処置を施す事によって、自己免疫反応の誘導を試みる。
q本申請研究は、ヒトの自己免疫疾患発症モデルの樹立を目指す。ヒトの自己免疫疾患モデルは、現時点では存在しない。NOG-dKOマウス(MHCクラスIとクラスIIを欠損したNOGマウス)にヒトのPBMCを移植してもGVHDが起こらないことが知られている。本研究では、このマウスを用いて、健常人ドナーからのPBMCと、同ドナー由来のiPS細胞から再生した各種組織を移植した「臓器/免疫完全ヒト化マウス」を用い、自己免疫疾患の誘発には、制御性T細胞の除去を行うことを計画した。2019年度は、まずこの系で免疫反応が検出できるかどうかを測定した。健常人ボランティアドナーAから樹立したLCLにルシフェラーゼ遺伝子を導入して腹腔内投与し、生着が確認されたマウスに、ドナーB由来のPBMCを尾静脈から輸注した。IVISを用いてLCLの増減を測定したところ、10日頃から減り始め、20日目にはほぼ消失した。以上の実験結果から、予定通りアロ反応は検出できた。2020年度には、NOGマウスに制御性T細胞を除去したPBMC を投与するとゼノGVHDが増悪するという知見を得た。すなわち、ゼノGVHDが制御性T細胞除去により促進されるというモデルを構築できた。またNOG-dKOマウスにおいてAkalucという感度の高い標識遺伝子を導入したiPS細胞再生した間葉系の細胞用いた「臓器/免疫完全ヒト化マウス」を樹立することに成功した。ただしこのマウスで自己免疫疾患を再現するには至らなかった。全体として、期間内に目標を達成したとは言い難いが、目標達成に向けての基礎的なデータとなる知見は着実に得られ、また技術基盤の開発は進んだ。コロナ禍によりNOG-dKOマウスの供給が半年以上遅滞したという事態が遅れの一因ではある。今後も「臓器/免疫完全ヒト化マウス」を用いた自己免疫疾患モデルの確立は進めていく。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)
再生医療 : 日本再生医療学会雑誌
Volume: 20(1) Pages: 16-3
40022522930
Inflamm Regener
Volume: 41 Pages: 2-2