Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、インフルエンザウイルス粒子の数を正確にカウントし、1細胞あたり何個のウイルス粒子が細胞に吸着するか厳密に制御した条件で感染実験をin vitorおよびex vivoで行う。その条件下で細胞応答を蛍光イメージングにより定量化し、1~数個のウイルス粒子が細胞に吸着する、すなわち感染超初期過程で発動する細胞内シグナル伝達を検証する。
生体におけるウイルス感染では、感染超初期段階ではごく少数のウイルス粒子に細胞が曝露され、一部の細胞でのみ感染が起こり、時間が経過するとともに感染細胞が増えていき、最終的に感染が拡大すると考えられる。これまでに申請者は、インフルエンザウイルスが細胞に曝露する際に、その粒子数の多寡で細胞応答が劇的に変わることを見出している。特に、本研究において、20粒子以上のウイルスに曝露された細胞では、細胞内カルシウム濃度が上昇すること、および20粒子以下の場合は細胞内カルシウム濃度は変化しないことを明らかにした。すなわち、少数のウイルス粒子感染時にはカルシウムシグナル非依存的な感染メカニズムが存在すると考えられる。また、インフルエンザウイルス感染をモニターするレポーター遺伝子を作製し、その安定発現細胞株を樹立した。この細胞を用いることで、生きた細胞でウイルス感染を評価することが可能になった。また、ウイルス粒子を細胞に曝露する際、ウイルス様粒子(Virus like particle)存在下では感染効率が上昇することも見出した 。すなわち、ウイルスRNAを含まない不完全な粒子が感染成立に寄与することが示され、効率よく感染するためには、ウイルスRNAの有無に関わらず粒子数の多寡が重要であることが示唆された。さらに、細胞内カルシウムダイナミクスを1細胞のみでなく、マクロな視点で捉えるために広視野イメージング観察系を立ち上げた。すると、インフルエンザウイルス感染により、細胞内カルシウム濃度上昇が細胞間を伝播する現象を突き止めた。また、このカルシウム濃度上昇伝播が感染を促進することを示唆するデータも得られている。この現象は生体組織を模倣した三次元培養系においても再現されている。以上により、我々が日々の生活を営む「現実の世界」で生じるウイルス感染現象の一端を理解することができたと考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 1-16
10.1038/s41467-020-18257-3
Current Biology
Volume: 30 Issue: 4 Pages: 670-681.e6
10.1016/j.cub.2019.11.089
120006960639
Cell Structure and Function
Volume: 44 Issue: 2 Pages: 183-194
10.1247/csf.19028
130007775556
Volume: 44 Issue: 2 Pages: 195-204
10.1247/csf.19033
130007775561
http://cp.med.hokudai.ac.jp