Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
雄と雌の配偶子の原形質膜中に存在する膜タンパク質が重複受精制御に直接関わっている。現在までに、雄性配偶子で機能する3つの受精因子が同定されている。しかしこれらタンパク質の個々の機能は解析されているものの、互いの関係性については解析されていない。さらに、これらの雄性受精因子と相互作用する雌性配偶子のタンパク質は発見されていない。本研究では既に同定されている受精因子タンパク質をツールとして用いることで、未知の受精因子の捕捉と、その機能解析を行い、重複受精進行を担う分子メカニズムを明らかにする。
被子植物の重複受精では、2つの精細胞がそれぞれ卵細胞または中央細胞と受精する。重複受精を成功させるためには、精細胞・卵細胞および精細胞・中央細胞の2種類の雌雄配偶子ペアの確立が必要条件である。しかしペア確立制御に関与する因子は見つかっていなかった。我々は被子植物の精細胞膜に特異的に局在するDMP9が卵細胞と受精に関与しており、DMP9が欠損すると受精が阻害がされることを明らかにしている(Takahashi et al. 2018)。このDMP9機能の発見を異なる配偶子ペア確立の制御機構解明の手がかりとし、当該年度ではDMP9の更なる分子機能を追究しつつ、既知の重複受精因子(GEX2、GCS1)との関係性評価を行った。これまで個別に同定され、特徴付けられてきたそれぞれの受精因子が、重複受精進行においてどのような順序で機能し、役割分担しているのかについて明らかにすることで、重複受精制御の包括的な理解を深めることを目的とした。DMP9の分子機能解析として、デリーション解析を行った。その結果DMP9は予測通り4つの膜貫通領域を有し、NおよびC末端側は細胞内に配向していた。膜貫通領域が1つでも欠けると精細胞での発現及び局在に影響が生じた。また、卵細胞との受精阻害を示すdmp9精細胞中のGCS1局在を観察するためのマーカーラインを作出し、胚のう内観察を行い、重複受精における受精因子の作用機序について考察した。また、膜貫通領域を欠損したGCS1バリアント(GAH)を人工的に雌の卵細胞で発現・分泌させたところ、受精阻害が観察された。これらの結果から、被子植物重複受精におけるGCS1挙動モデルを考察した。現在はこれらの知見に基づき、GAHによって補足された因子の受精における機能解析に繋がっている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 2 results) Presentation (5 results)
Protoplasma
Volume: 257 Issue: 4 Pages: 1201-1210
10.1007/s00709-020-01503-2
Methods Mol Biol.
Volume: 2160 Pages: 73-81
10.1007/978-1-0716-0672-8_5
Journal of Visualized Experiments
Volume: 29 Issue: 150
10.3791/59916