Effect of epigenetic modiication on abnormal seed formation in interspecific crosses between wheat and its relatives
Publicly Offered Research
Project Area | Determining the principles of the birth of new plant species: molecular elucidation of the lock-and-key systems in sexual reproduction |
Project/Area Number |
19H04863
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宅見 薫雄 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50249166)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
|
Keywords | 遺伝学 / ゲノム / 生殖隔離 / 種間交雑 / 異質倍数性進化 / ゲノム解析 |
Outline of Research at the Start |
異質倍数性進化は特に高等植物において新たな種を誕生させる強力なプロセスである。異質倍数性進化には、2つの異なる近縁種間で発芽可能な交雑種子が形成されることが必須である。二粒系コムギに近縁4倍種の花粉を交雑してできた種子に胚が正常に発生するのかどうかについて、種間及び種内変異が存在する。また、胚が正常に発生する交雑種子と無胚となる交雑種子では遺伝子発現プロファイルが異なる。この正常な交雑種子の形成の可否に対して、インプリンティグ遺伝子の関与を、両親間の発現プロファイルとDNAメチル化状態の差異から検討し、交雑種子でのDNAメチル化とクロマチン修飾の全ゲノム解析につなげることを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
高等植物では異質倍数性進化が新たな種成立の重要な原動力となっているが、2つの異なる近縁種間の雑種形成がスタートとして重要であり、発芽可能な交雑種子の形成は必須である。コムギ・エギロプス属は種間交雑と異質倍数性進化によって過去に何度も新種を誕生させてきた。しかし、近縁種ゲノムは2倍体レベルで分化しており、全ての交雑組み合わせで自由に雑種が作出できるわけではない。二粒系コムギに近縁4倍種を交雑した場合、交雑種子が正常に形成されるかどうかのレベルで生殖隔離が認められる。そこでコムギ近縁種間の交雑種子形成に着目し、交雑種子形成の成否を決める要因の解明を目的とする。これまでにトランスクリプトームの比較解析から、多くの遺伝子の発現変動を明らかにしてきた。そこで、異常発現を示した遺伝子のインプリンティングに着目し、エピジェネティック修飾とそれぞれの親から受け継いだアリルの発現の関係について明らかにする。 今年度は、二粒系コムギ品種に4倍体エギロプスAegilops cylindricaやAegilops variabilisの花粉を交雑してできる無胚種子については種子の発達段階を追ってRNA-seq解析を行った。まず、交雑親と交雑種子の全ての条件の発現データに関して主成分分析を行い、サンプル間・時点間の発現傾向の違いを調べた。次に、各時点で交雑親と交雑種子の発現を比較した場合のdifferently expressed gene (DEG)を抽出した。並行して、交雑種子における発現がどちらの親アリル由来であるかを判別するための解析を行った。アリルの精度を評価するためにBubble-parseを使用した。無胚の交雑種子は有胚の交雑種子と比べて発生の初期から父親ゲノムの影響を強く受けており、かつ発生初期の遺伝子発現の制御に異常が生じて、胚乳に貯蔵すべき物質を代謝・蓄積できず種子が崩壊していったと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二粒系コムギ品種Langdon (Ldn)に、4倍体エギロプスから2種類の交雑(Ldn/Aegilops cylindricaとLdn/Aegilops variabilis)を行い、受粉後の日にちを追って交雑種子から質の高いRNAを抽出し、RNA-seq解析を行った。当初の予定通り、RNA-seqが進んだ。有胚の交雑種子は遅れながらも種子親であるLdnの発生を後追いする形で遺伝子発現が変化していた。貯蔵タンパクや脂質合成・輸送に関連する遺伝子と、細胞死に関連する遺伝子の発現が無胚の種子では異なっていた。また、二群間比較によって無胚の種子のみでみられるDEGを多く検出された。無胚種子では3日目にmiRNAやヒストン修飾による遺伝子の発現制御に関わる遺伝子の発現が低下し、11日目に細胞・核分裂に関わる遺伝子の発現が上昇していることがわかった。さらに、交雑種子の発現がどちらの親アリル由来であるかを解析した結果、無胚の交雑種子では有胚の交雑種子に比べて早期から父親アリル由来の発現割合が上昇していることがわかった。以上の結果から、無胚の交雑種子は有胚の交雑種子と比べて発生の初期から父親ゲノムの影響を強く受けており、かつ発生初期の遺伝子発現の制御に異常が生じて、胚乳に貯蔵すべき物質を代謝・蓄積できず種子が崩壊していったと考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は無胚の交雑種子形成過程で発現量に異常が認められた遺伝子のうち、胚乳でインプリンティングを受けるとされている遺伝子について、実際にインプリンティングを受けているのかの検証を行う必要がある。実際には、両親のいずれに由来するのかが異常な転写量と関連している遺伝子に関して、同祖遺伝子間の多型を利用して、発達途中の交雑種子のDNAを用いたbisulfiteシークエンシングによってメチル化部位の修飾状況について解析を行う。さらにはゲノム全体を俯瞰したクロマチン修飾状態の変動などのChIP-seq解析も視野に入れる必要があるだろう。
|
Report
(1 results)
Research Products
(16 results)