Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ヒトやそれ以外の動物に存在する「個性」を形成する要因は遺伝か環境か,という問題は長く議論されてきた。しかし近年,多くの生物種で遺伝情報や環境は均一であっても一貫した行動傾向の個体差が生じることが示されてきている。そのような「個性」を生みだす機構にどのような進化適応上の機能が存在するかということはまだ解明されていない。本研究では,そのような個性の適応的機能について検討する。そのため,実際のヒトやそれ以外の動物の行動を解析することで個体差形成過程のモデリングを行い,さらに,その知見をもとにした進化モデルを構築し,計算機シミュレーションを通して「個性」の適応的な機能を理論的に探る。
ヒトやそれ以外の動物の行動における個体差,すなわち「個性」がなぜ存在するか,ということは基本的でありながら決着のついていない問題である。本研究では,データのモデリングや計算機シミュレーションを通して,「個性」の適応的な機能を理論的に検討することでその問題を検討することを目標とした。2020年度では,パーソナリティに関する質問紙の回答データを分析し,パーソナリティを規定すると考えられている神経症傾向,外向性,経験性への開放性,協調性,勤勉性という5つの特性 (因子) からなる空間の中で個人がどのように分布しているかを検討した。その結果,特性間の2次の相関のみを仮定した従来のモデル (因子分析モデル) ではとらえきれない,高次の交互作用が存在することが明らかとなった。例えば,外向性と協調性は片方が高いともう片方も高くなるという正の相関関係があるが,その関係の強さは勤勉性が強くなるとより強くなる。しかし,神経症傾向が高くなるとそれらの関係も弱くなる。さらに,パーソナリティの形成過程を説明する数理モデルの計算機シミュレーションを通して,そのような高次交互作用の形成メカニズムを検討した。その結果,複数の「ニッチ」と呼べる最適なパーソナリティのタイプが存在し,個人が自身に近いニッチに向かってパーソナリティを調整していくというモデルにより高次交互作用が説明されることが明らかになった。この一連の成果は,パーソナリティをはじめとした「個性」の形成メカニズムおよびその機能に関して有用な知見を提供するものである。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (10 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Peer Reviewed: 10 results, Open Access: 9 results) Presentation (1 results) Book (1 results)
Psychiatry and Clinical Neurosciences
Volume: 75 Issue: 9 Pages: 277-285
10.1111/pcn.13279
Scientific Reports
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 20853-20853
10.1038/s41598-021-00358-8
Journal of Human Environmental Studies
Volume: 19 Issue: 1 Pages: 15-24
10.4189/shes.19.15
130008059361
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 3574-3574
10.1038/s41598-020-80593-7
PLOS ONE
Volume: 16 Issue: 1 Pages: e0244434-e0244434
10.1371/journal.pone.0244434
PLOS Computational Biology
Volume: 17 Issue: 2 Pages: e1008738-e1008738
10.1371/journal.pcbi.1008738
Frontiers in Big Data
Volume: 3 Pages: 8-8
10.3389/fdata.2020.00008
Journal of Mathematical Psychology
Volume: 96 Pages: 102347-102347
10.1016/j.jmp.2020.102347
120006884953
The Japanese Journal of Psychonomic Science
Volume: 38 Issue: 1 Pages: 48-55
10.14947/psychono.38.5
130007760486
Frontiers in Psychology
Volume: 10 Pages: 1-15
10.3389/fpsyg.2019.02432