Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本課題では、ストレス暴露により顕在化する行動レベルのストレス耐性の個体差と、ストレスを受ける以前の潜在的な脳機能の個体差を捉え、その相関から、個体ごとに異なる潜在的なストレス耐性の創発機構を捉える解析法の構築を目指す。具体的には、まず遺伝学的手法を用いてストレスを受ける以前に活動した神経細胞を半永久的に標識する。この標識した細胞の脳内分布と、当該個体にストレスを暴露した後の行動変化の相関性から、潜在的なストレス耐性やストレス脆弱性の個体差に関わる神経基盤の解析法を確立する。
本課題では、ストレス暴露により顕在化するストレス耐性の個体差情報をマウスの行動変化を指標として取得し、ストレスを受ける以前の潜在的な脳機能・神経活動の個体差との相関から、個体ごとに異なる潜在的なストレス耐性の創発機構を捉えるための解析法の確立に取り組んでいる。これまでに構築してきた全脳イメージング装置FASTを用いた解析では、脳領域を約20程度に分類して解析していたが、マウス脳の自家蛍光画像を用いた平均化FAST全脳アトラスを構築することで、50マイクロメートル単位程度の微小脳領域の比較解析が可能になった。本年度は、当初予定していたTRAP2マウスを用いて、ストレス暴露時にc-Fosを発現した細胞を半永久的に標識する解析を実施した。現時点までに構築した解析方法では社会性相互作用時間などの行動変化と相関する活動変化を検出することが容易ではなく、脳領域の分類に加えて、社会性行動を詳細に分析し、近づき行動や匂いかぎ行動などに分類することで行動変化と相関する脳領域を見出せる可能性が考えられる。代替法としてc-fosプロモーター制御下にEGFPを発現するFosEGFPマウスを用いた解析では、単回の社会的敗北ストレスにより視床室傍核や視床結合核、内側手綱核周辺においてストレス反応の個体差を部分的に反映すると考えられる、EGFP陽性細胞数の個体差が認められた。代替法の導入など一部の計画に修正を要したものの、これらの結果から、ストレス応答の個性・多様性に関わる神経基盤の解明に資する、新たな画像データ解析法の確立に成功し、個体によってストレスに対する反応性の異なる候補脳領域を推定できたたと考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)