Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
個性は,個々人の行動やパーソナリティの特徴を記述する尺度の集合により描出することができ,その背景には脳機能の多様性が関係していると考えられる.本研究は,オープンリソースで提供されている脳画像と心理・行動特徴のビッグデータを用いて,個人の脳画像から,多次元の行動特徴を予測する予測器を構築して,特徴的な脳機構を同定する「個性の脳マッピング」を目的とする.とりわけ,ビッグデータを学習した予測器に,独自の実験で収集した脳機能画像データを入力することにより,個性の予測と脳機能マッピングを行う.この枠組みにより,脳画像からその個人を特徴付ける行動と背後にある脳機構が描出可能になる.
ヒトが認知制御課題(課題切り替え)を遂行しているときの脳活動を機能的MRIで撮影し,オリジナルリソースとした.解析では,まず,オープンリソースであるHuman Connectome Project(HCP)から提供されている作業記憶課題の機能的MRI画像の皮質領域を2次元化し,具象物の写真を学習済みの畳み込みニューラルネットワークモデル(分類器)に再学習させた.そして,オリジナルリソースの皮質機能画像を再学習させた.オリジナルリソースの学習には,具象物を学習しているモデルの再学習と,HCPの再学習が必要であった.そして,オリジナルリソースの画像を分類させてマッピングを行なった.その結果,後頭側頭皮質にある,紡錘状回の顔領域と海馬傍回の場所領域では,それぞれ,顔の分類と場所の分類に課題を切り替えるとき,知覚に関連する情報量が増えることがわかった.これらの後頭側頭皮質の領域は,分類を切り替えときに,左の外側前頭皮質から信号を受けることがわかった.そして,手がかり刺激に知覚的にあいまいになると,前頭皮質は,後頭側頭皮質から信号を受ける,すなわち信号が逆向きになることがわかった.また,上述の手法で,HCPが提供している作業記憶課題の脳活動マップから,一般流動性知能のスコアを予測することを試みた.交差検証による予測制度のr2乗値は.22であった.そして,一般流動性知能の予測に重要な情報を持つ脳活動を呈する領域をマッピングにより同定した.以上のように本研究課題は,オリジナルリソースとオープンリソースを統合的に解析することにより,高い信頼性と一般性で認知の制御と知能に関わる脳機構を解明できることを例示した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results)
The Journal of Neuroscience
Volume: 41 Issue: 10 Pages: 2197-2213
10.1523/jneurosci.2096-20.2021
Volume: 40 Issue: 50 Pages: 9736-9750
10.1523/jneurosci.1702-20.2020